伊東正義

伊東 正義の政治人生

伊東正義（いとう まさよし）は、1913年12月15日に福島県会津若松市で生まれました。彼の家族には会津藩士の血を引く者もおり、父は教師として教育に尽力しました。伊東は旧制会津中学校や旧制浦和高等学校を経て、東京帝国大学法学部を卒業し、1940年に農林省に入省。この道が彼の政治家としての土台を築くこととなります。

政界への足跡

1963年、伊東は自由民主党（自民党)から衆議院議員に立候補し、初当選を果たします。その後、彼は大平正芳と親密な関係を築き、大平が党総裁となると、内閣官房長官として初入閣。この役職では大平を補佐し、政治の細部に携わる重要な役割を果たしました。

1980年、大平内閣が不信任決議で崩壊した際には、彼が内閣総理大臣臨時代理として国政を担うことになります。伊東はこの瞬間、内閣官房長官としての経験を存分に活用し、職務の運営に尽力しました。大平の死後、彼の後任者争いに名前が挙がったものの、消極的な態度を取り続けました。

外務大臣としての葛藤

鈴木善幸内閣では外務大臣に任命されますが、ここで伊東は内外政策における意見の相違に直面します。日米首脳会談での声明解釈を巡り、首相との見解の違いがメディアに報じられ、彼は責任を取る形で辞任します。後任には園田直大臣が就任し、鈴木内閣の路線は継続されました。この時の伊東の辞任については、持病の糖尿病や妻の健康状態が影響したとの話もあり、告白として語られました。

中曽根内閣への復帰と後の時代

1986年、伊東は自民党政調会長に就任し、再び政界の表舞台に姿を現します。その後、竹下内閣のもとで総務会長として重要なポジションを維持しました。しかし、竹下首相が退陣した後の後継争いでは、自身の潔癖性を理由に総裁への就任を頑固に拒否しました。

1993年、伊東は衆議院議員の選挙に出馬せず、政界を引退します。その後、1994年5月20日に80歳でこの世を去ります。彼の人生は、自民党内での清廉潔白さとともに、友情や政治家としての実行力を象徴していました。

死後の評価

彼の葬儀では盟友後藤田正晴が弔辞を捧げ、「伊東は政治家としての潔癖さを持ち続け、その姿勢が大切である」と述べています。伊東正義の政治家としての姿勢は、後の世にも影響を与え、その清らかさは多くの後進にとって手本とされるでしょう。彼の墓所は鎌倉霊園にあります。

総括

伊東正義は観劇が趣味で、特に森光子のファンとしても知られており、その庶民的な魅力を大切にしていました。彼の政治家としての努めや生きざまは、金権政治からの距離を保ち続け、クリーンなイメージを保った政治家として記憶されることでしょう。

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