伊東胡蝶園

伊東胡蝶園の歴史と展開

伊東胡蝶園（いとうこちょうえん）は、1904年に創業された化粧品メーカーであり、1997年に清算されたこの企業は、日本の化粧品業界において貴重な存在となりました。特に「御園白粉」という製品で有名であり、さらに出版社「玄文社」も運営していました。この会社の歴史は明治時代に遡ります。

創業の背景

伊東胡蝶園の創業は、岐阜県の県令・長谷部恕連の次男にあたる長谷部仲彦が、フランスから帰国後、独自に開発した無鉛白粉に起源を持ちます。彼は1900年に東京で初めての純無鉛白粉の販売を行い、皇太子嘉仁親王（大正天皇）の成婚を祝して献上したことで、その名を知られるようになりました。

1904年、長谷部は伊東玄朴の四男である伊東栄と手を組み、正式に「胡蝶園」を設立しました。「胡蝶」とはアゲハチョウのことで、この名はその商標としても後に使用されました。この時期、「白粉の御園」と称され、当時の化粧品業界の「四大覇者」として、その地位を確立していきました。

事業拡大の過程

1909年には商号を「伊東胡蝶園」に改め、同年には初代の死去によって長男の謙吉が二代目を継承しました。この時期、出版社「玄文社」を設立し、雑誌や書籍の出版も行いました。特に自社で雑誌『新演芸』 などを発行し、雑誌業界にも進出しました。

1916年には「御園コールドクリーム」を発売し、1926年には「新御園白粉」を導入し、多様な製品ラインを展開しました。特に1935年には、「パピリオ」ブランドを立ち上げ、これ以降の化粧品業界の発展に寄与しました。

戦後の変革とブランドの進化

第二次世界大戦後、1948年に株式会社パピリオへと改称しました。その後の年代において、マネキンを用いた宣伝活動を開始し、1974年には帝人力により事業が強化されました。1987年にはアサヒペンに買収され、パピリオとして知られる製品展開が続きましたが、徐々に化粧品部門から撤退しました。1990年にツムラがパピリオを手に入れましたが、1997年には清算に至りました。

近年の状況

2004年になり、映画『君の名は』とのタイアップなどを経て、新たに「パピリオ」の商標権が移譲されました。それにより新会社も設立されたものの、元の胡蝶園との資本的また人的な繋がりはありません。

おわりに

伊東胡蝶園は、その創業以来、さまざまな製品を通じて日本の化粧品市場に貢献してきました。化粧品業界における「白粉の御園」としての地位は、今もなお多くの人々の記憶に残り続けています。特に、日本の化粧品業界において無鉛白粉の先駆けとしての功績は歴史的な意義を持つものであり、多彩な文化的背景を持つ企業であったことを示しています。

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