長谷部恕連

長谷部恕連（はせべ よしつら）

長谷部恕連は、1818年3月10日（文化15年2月4日）に生まれ、1873年（明治6年）11月17日に亡くなった、幕末の福井藩士であり、明治初期の政治家です。笠松県知事、岐阜県令を歴任しました。旧姓は加賀、幼名は貞吉、通称は吉之助または甚平、号は南村または菊陰と称しました。

生涯

越前国足羽郡福井（現在の福井県福井市）で、福井藩士・加賀成守の三男として生まれました。その後、長谷部宜連の養子となり、天保4年（1833年）に200石の家督を相続しました。

嘉永元年（1848年）には目付役、嘉永3年（1850年）には藩財政と民政を担当する御奉行（いわゆる勘定奉行）となり、寺社町奉行なども務めました。財政に明るく、横井小楠の影響を受けて開国を唱えました。文久3年（1863年）7月には、福井藩の挙藩上洛計画に中心的な役割を果たしましたが、計画が頓挫した翌月には、「近来別而我意ニ募り、自己之取斗等も有之」との理由で隠居・蟄居を命じられました。

明治維新後、慶応4年5月19日（1868年7月8日）に笠松県知事に登用されました。同年6月28日（8月16日）に知事を辞任しましたが、同年8月20日（9月20日）に権知事に就任し、明治3年10月9日（1870年11月2日）に知事に昇格しました。明治4年11月22日（1872年1月2日）には、笠松県が岐阜県に統合され、初代の岐阜県令に就任しました。岐阜県令としては、県内の行政区画の設置、取締局（警察）の設置、県庁の笠松から岐阜への移転、小学校などの設立、全国に先駆けて遊郭の廃止を行うなど、県政の基礎作りに尽力しました。1873年11月、在任中に死去しました。

人物

岐阜県民からは親しみを込めて「あごひげ県令」と呼ばれていました。

親族

長男:長谷部辰連（官僚・政治家）。その長男に長谷部鋭吉がいます。
二男:長谷部仲彦（化学者、御園白粉開発者）。その長男に長谷部言人がいます。
四女:コシジ（調所恒徳の妻）

参考文献

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
安岡昭男編『幕末維新大人名事典』下巻、新人物往来社、2010年。
日本歴史学会編『明治維新人名辞典』吉川弘文館、1981年。
大植四郎編『明治過去帳』新訂初版、東京美術、1971年（原著私家版1935年）。

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