伊江島補助飛行場

伊江島補助飛行場：沖縄の空と歴史が交錯する場所

伊江島補助飛行場は、沖縄県国頭郡伊江村に位置するアメリカ[[海兵隊]]の施設です。その起源は旧日本軍の伊江島飛行場に遡り、戦後の歴史の中で、軍事的な要衝として重要な役割を果たしてきました。現在の飛行場は、伊江島の北西部に広がり、その面積は約8.02平方キロメートルに及びます。これは伊江村全体の約35.3％を占める広大な区域です。滑走路、ヘリパッド、ハリアーパッドなど、多様な施設を備え、アメリカ軍の訓練拠点として機能しています。

基地の概要

伊江島補助飛行場は、その広大な敷地の中に、国有地、県有地、市町村有地、そして民有地を含んでいます。総面積は約801.5ヘクタールに達し、その大部分が民有地です。空域と水域もそれぞれ1,025.89平方キロメートル、26.90平方キロメートルに及び、その規模の大きさが伺えます。年間賃借料は13億7500万円で、その管理は海兵隊キャンプ・バトラー基地司令部が行っています。

使用部隊は海兵隊を主として、陸軍（特殊部隊）、空軍、海軍も利用しています。主な目的は、補助飛行場としての機能と訓練場としての利用です。常駐機はなく、飛来機による模擬空対地射爆撃訓練、パラシュート降下訓練、重量物投下訓練など、多様な訓練が実施されています。また、上陸演習「バリアント・アッシャー」や定期総合演習「ビーチ・クレスト」など、大規模な演習も行われています。

滑走路

伊江島補助飛行場には、3本の滑走路があります。東側の滑走路は、1974年の沖縄国際海洋博覧会を機に、米軍から返還され、伊江島空港として再利用されています。しかし、米軍訓練空域内にあるため利用は制限されており、現在は定期便の運用は行われていません。中央の滑走路は、米軍の管理下にあるものの、実際には滑走路としては使用されておらず、地元住民の生活道路として利用されています。西側の滑走路は、射爆撃場内にあり、1989年にはハリアーパッドが、2018年にはLHDデッキが建設されました。このLHDデッキの完成により、F35B戦闘機の訓練が頻繁に行われるようになり、騒音問題が深刻化しています。

歴史

伊江島飛行場は、旧日本軍によって「東洋一の規模の飛行場」として建設が計画されました。しかし、資材や労働力の不足、米軍の沖縄上陸作戦への備えなどから、建設は遅々として進みませんでした。米軍の沖縄上陸直前には、滑走路の破壊命令が出されました。その後、米軍が伊江島を占領すると、飛行場は速やかに復旧され、米軍基地として使用されることになりました。

住民の強制収容と土地の強制接収

伊江島を占領した米軍は、住民を収容所へ強制的に移住させ、飛行場の拡張を進めました。終戦後、住民が帰島した時には、故郷の姿は大きく変わっており、住む家も無い状態でした。1950年代には、朝鮮戦争の影響で、米軍は「土地収用令」を発令し、伊江島の土地を強制的に接収しました。住民は、住み慣れた家や農地を奪われ、強制的な立ち退きを強いられました。

沖縄返還と基地問題

1972年、沖縄が日本に返還された後も、伊江島の米軍基地は日米地位協定の下で存続しました。1976年には、伊江島補助飛行場の全返還が合意されましたが、ハリアーパットの建設などにより、返還は実現していません。1996年には、読谷補助飛行場で行われていたパラシュート降下訓練が伊江島に移転され、訓練の頻度が増加し、住民の負担は大きくなりました。

近年の動き

2016年以降、LHDデッキの改修工事が行われ、F35B戦闘機の訓練が開始されました。これに伴い、騒音問題がさらに深刻化しています。また、伊江島中学校では、米軍兵士を授業に活用する取り組みが行われており、軍と公教育の一体化が問題視されています。

事件・事故

過去には、基地内での不発弾の爆発や、演習中の米軍機の直撃弾によって、住民が死亡する事件が発生しています。また、米兵が民間人を狙撃する事件も発生し、地域住民は基地の存在によって、常に危険と隣り合わせの状況に置かれています。

周辺対策

伊江島では、基地周辺の生活環境を整備するための様々な対策が行われています。溜池の修復、上水道の整備、防音工事、児童公園の整備などが行われています。これらの事業には、多額の税金が投入されています。

伊江島補助飛行場は、沖縄の歴史と米軍基地問題の象徴的な存在です。住民の生活と安全を脅かす基地問題は、今もなお、解決への道のりは遠く険しい状況が続いています。

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