伊波月城

伊波 月城の生涯と業績

伊波月城（いは げつじょう）、本名・伊波普成（いは ふせい）は、1880年12月27日に沖縄県那覇で生まれ、1945年5月30日に沖縄戦の最中に亡くなったジャーナリストであり、琉歌の歌人として名を馳せた。彼は、沖縄の文化や教育の発展に大きく寄与し、「沖縄学の父」と称された伊波普猷の弟である。

幼少期と教育

月城は、父・伊波普済と母・マツルの間に生まれ、兄の普猷とともに沖縄県尋常中学校に通った。この学校は後の沖縄県立第一中学校や沖縄県立首里高等学校へと発展する教育機関であった。月城は、1895年から1896年にかけて、兄たち上級生の主導による尋常中学校ストライキに参加するが、最終的には在学し、1899年に卒業した。

上京とキリスト教との出会い

1900年頃、月城は上京し、誓閑寺で寄宿生活をしながら青山学院大学で英語を学び、キリスト教の洗礼を受ける。その影響を与えたのは海老名弾正とされており、彼の思想は月城のその後の活動にも大きな影響を与えた。学業の卒業年次は確認されていないが、彼は大学時代に多くの文献に触れ、文学への興味を深めた。

文芸活動の開始

1906年、月城は沖縄に戻り、兄の普猷らと共同で沖縄基督教青年会や沖縄正則英語研究会を設立した。また、1908年には球陽文芸会を立ち上げ、文学活動を本格化させた。彼は1909年に創刊された『沖縄毎日新聞』に記者として入社し、コラムや外国文学の翻訳を行い、積極的に執筆活動を展開した。この時期、仲程昌徳は月城を「新派」琉歌の作者として評価している。

文壇の設立と講演活動

月城は1911年に、琉球の文芸復興を目指す「毎日文壇」を設立し、執筆活動や講演など、多岐にわたる文化活動に取り組んだ。彼はこの文壇の一員として、多くの若手作家を指導し、沖縄文学の発展に貢献した。

鉱山事業とその後の人生

大正時代の半ば、月城は新聞界から離れ、鉱山事業の経営に着手したが、事業は失敗に終わる。その後は文壇を離れ、表舞台から姿を消していくこととなった。月城の晩年は沖縄戦という困難な時期に重なり、1945年に戦火に巻き込まれ亡くなったとされる。

復興活動と最近の研究

月城の影響は、その後の沖縄文化の発展にも深く根付いている。2023年には、彼の過去の業績や執筆した記事を集めた『伊波月城集』が沖縄タイムス社から出版され、彼の存在と影響力が再評価される形となった。このように、月城の生涯と業績は、沖縄の歴史に欠かせない重要な一部である。

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