伊良湖試験場

伊良湖試験場について

伊良湖試験場（いらごしけんじょう）は、大日本帝国陸軍の第一技術研究所が設立した射撃試験場で、愛知県の渥美半島の先端に位置しています。この試験場は、兵器試射が行われる重要な施設として、特に明治時代に設立されました。

設立の背景

その設立には、千葉県の下志津原演習場での兵器試射が手狭になってきたことが関係しています。技術の進歩による射撃性能向上により、射程1万メートル以上の火砲の試射が可能なことに耐えうる広大な敷地が求められるようになりました。具体的には、1891年（明治24年）3月に陸軍砲兵会議が開かれ、千葉県銚子や愛知県伊良湖岬をはじめとした候補地が検討されました。最終的には浜名湖沿岸が最適地とされましたが、用地確保の容易さから伊良湖岬が選ばれることになりました。

土地取得の経過

1897年には、早急に用地を確保する目的で伊良湖岬が選ばれ、同年内に宮内省から土地の承諾を得ることができました。他の私有地についても、1899年1月には村長との協議を経て村有地を賃料なしで使用する了承を得て、最終的に約177万3000坪の広大な土地が確保されました。土地取得の費用は当時の金額で1182円9銭6厘に及び、知事からは周辺の漁業や農業への配慮を求められる場面もありました。

施設の設計と建設

伊良湖試験場の具体的な建設は、1900年（明治33年）に砲床を小中山（現在の田原市中山町字小中山）に設置する方針が決まり、1901年（明治34年）3月に起工し、同年の11月30日に完工しました。日露戦争後には、試験場がさらに拡充され、訪れた集落は移転を余儀なくされました。特に1924年には、従来の射線に加えて西射線が設定され、これにより旧来の射線は軽砲射線として使用されることになりました。

終わりに

伊良湖試験場は、今でも多くの歴史的背景を持つ重要な場所として認識されています。その設立の背景や土地の取得過程、さらには施設の拡充は、当時の技術革新と軍事的な要請が密接に絡み合っていたことを示しています。このような歴史から、伊良湖試験場は地域における文化と歴史の一部として今後も語り継がれていくでしょう。

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