伊藤一郎 (日本文学者)

伊藤一郎（いとう いちろう）は、1952年9月生まれの国文学者であり、東海大学文学部の教授を務めた人物です。専門は近世文学であり、特に芥川龍之介研究における論客として知られています。

東京に生まれた伊藤は、東京教育大学附属駒場高校を卒業。高校時代には、杉山太郎や四方田犬彦らと親交を深めました。その後、東京教育大学（現在の筑波大学）文学部国文学科に進学し、卒業論文は尾形仂の指導を受けました。大学院には進学せず、東京都立高校の教員となり、後に筑波大学附属高校の教員も務めました。高校教員時代から東海大学の非常勤講師を兼任し、1993年4月に東海大学文学部日本文学科へ移籍。2020年3月に退職するまで、東海大学文学部長も務めました。

学生時代には説教節を研究していましたが、高校教員時代には時間の制約から芥川龍之介の研究に転向しました。芥川龍之介論においては、独自の視点を持つ論客として知られ、芥川作品における俳諧・俳句の系統に着目した研究を行っています。この研究から派生して、新傾向俳句の分野における忘れられた俳人、例えば遠藤古原草や小沢碧童などの研究にも取り組みました。

著書としては、『龍之介の芭蕉・龍之介の子規』（翰林書房、2020年）があります。これは、芥川龍之介の作品と、松尾芭蕉や正岡子規といった俳人との関連性を探る内容となっています。

伊藤一郎の研究は、単に文学作品を分析するだけでなく、その背景にある文化や思想にも目を向け、多角的な視点から文学を捉えようとする姿勢が特徴です。彼の研究は、近世文学研究に新たな光を当て、芥川龍之介研究に新たな視点を加えるものとして評価されています。東海大学の教員を退職後も、その研究活動は継続されていると考えられます。

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