伊藤夢葉

伊藤 夢葉（いとう むよう）

1953年（昭和28年）2月1日、静岡県浜松市に生まれた日本の手品師。特に「おしゃべり手品師」という異名で知られており、伝統的な手品に独自の軽妙な話術を組み合わせたスタイルで多くの観客を引きつけている。本名は伊藤勝彦（いとう かつひこ）。

来歴

浜松市立西部中学校を経て、静岡県立浜松城北工業高校を卒業した。手品師を志し、1975年（昭和50年）に当代一流の手品師である伊藤一葉（いとう いちよう）に弟子入りした。師である一葉は、無言劇を取り入れた洗練された舞台で知られていたが、弟子である夢葉は、その師とは対照的に、言葉を多用するスタイルを追求し、独自の道を切り開いていった。

芸風と特徴

伊藤夢葉の最大の特色は、その多弁な語り口にある。手品という視覚的な芸に、漫談のようなおしゃべりを積極的に取り入れることで、観客との間に親密な一体感を生み出す。師匠である伊藤一葉と比較すると、舞台上で話す量は格段に多く、この「おしゃべり」こそが、彼の芸の重要な要素となっている。ユーモアあふれるトークと、巧妙な手品が一体となったパフォーマンスは、老若男女を問わず幅広い層から支持を受けている。

また、彼の舞台におけるもう一つの特徴として、演技の始まりに鞭を用いることが挙げられる。これは手品そのものとは直接的な関連はないとされているが、客席の注意を一瞬にして集め、これから始まるショーへの期待感を高めるための独特な演出手法として定着している。鞭の乾いた音と共に、彼の世界観へと引き込まれる観客は多い。このオリジナリティ溢れる導入は、単なる手品師に留まらない、エンターテイナーとしての彼の非凡さを示している。

芸歴と活動

1975年に伊藤一葉門下に入った後、着実にその芸を磨き上げ、プロの手品師としての地位を確立していった。

1977年（昭和52年）6月には、日本の奇術師の団体である日本奇術協会の正式なメンバーとなる。
1990年（平成2年）には、若手芸人の登竜門とされる国立演芸場花形演芸会において、第45回の銀賞を受賞。これは、彼の芸が演芸界において高く評価された証と言える。
2006年（平成18年）4月には、落語家や色物芸人が多数所属する伝統ある団体、落語協会にも入会した。これにより、寄席という演芸の定席における活動の場をさらに広げた。

2015年（平成27年）の時点でも、東京を中心に全国各地の寄席や、様々な演芸会、イベントなどで精力的に活動を続けている。長年のキャリアで培われた話術と技術は、多くの観客に笑いと驚きを提供し続けている。

その活動の様子や日常は、公式ブログやFacebookページなどを通じても垣間見ることができる。

参考文献・関連情報

落語協会公式サイト掲載プロフィール
伊藤夢葉 公式Facebookページ
伊藤夢葉 公式ブログ

（注：本記事は提供された情報を基に記述しており、2015年以降の活動や詳細については情報が限られている点にご留意ください。）

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