伊藤孝一 (政治家)

伊藤孝一（いとう こういち、1950年（昭和25年）5月17日生）は、日本の政治家。茨城県行方市の行政に深く関わり、同市の初代体制下で市政の舵取りを担った元行方市長（1期）。さらに、行方市誕生の基盤を築いた旧北浦町の町長を2期務めた経歴を持つ。

茨城県立麻生高等学校を卒業後、社会人としてのキャリアを歩み始めた。地方政治の道に進む以前は、行政書士として法律関連の専門知識を活かした業務に従事する傍ら、地域社会の発展と住民福祉の向上にも積極的に貢献した。特に、行方郡育成会連合会会長として次世代を担う青少年の健全な育成活動に力を注ぎ、また北浦町消防団では部長として地域の防災体制強化と住民の安全確保に尽力するなど、地域に根差した多岐にわたる活動を展開し、住民生活や地域が抱える課題への深い理解を培った。これらの経験が、後の政治家としての活動の礎となったと言える。

地方自治体の首長としてのキャリアは、2000年に執行された北浦町長選挙への立候補から始まった。この選挙戦では、当時の現職町長を破り、見事に初当選を果たし、北浦町のトップリーダーとなった。以降、約5年間にわたり、2期目の任期途中にあたる2005年3月22日まで町政を指揮した。この期間中、北浦町は近隣の麻生町、玉造町との間で合併協議を進め、新しい広域自治体である行方市の誕生に向けた重要な準備を進めた。伊藤氏は、この歴史的な合併過程において、北浦町の代表として中心的な役割を果たした。

行方市が正式に発足した後、2009年9月20日に執行された行方市長選挙に挑戦した。この選挙では、行方市の初代市長を務めていた現職の坂本俊彦氏との間で、地域住民の大きな関心を集める激しい一騎打ちが展開された。開票の結果、伊藤氏が坂本氏をわずか34票差という、地方選挙としては極めて稀な歴史的な僅差で破り、第2代行方市長への当選を果たした。行方市長としては、2013年9月19日までの1期、およそ4年間にわたり、行方市の市政運営に携わった。

2期目の市長職続投を目指し、2013年9月29日に行われた行方市長選挙にも再び立候補したが、この選挙戦では、新人で元行方市議会議員であった鈴木周也氏に挑む形となった。選挙の結果、惜しくも当選には及ばず落選することとなった。この時の鈴木氏との最終的な票差は1853票であった。

公職を退いた後も、長年にわたる地方自治、特に北浦町長および行方市長としての行政運営における多大な功績と地域社会への貢献が高く評価され、2020年11月3日発令の秋の叙勲において、地方自治功労により旭日双光章を受章した。これは、地域行政の発展に対する献身的な長年の尽力と功労が国によって認められた栄誉である。

参考文献として、以下が挙げられる。

『地方選挙総覧 <知事・市長・特別区長> 平成篇 1989-2019』（日外アソシエーツ、2019年）
『茨城県人物・人材情報リスト 2021』（日外アソシエーツ、2020年）
* 『全国歴代知事・市長総覧』（日外アソシエーツ、2022年）

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