伊藤正徳 (軍事評論家)

伊藤正徳の生涯と業績

伊藤正徳（1889年10月18日 - 1962年4月21日）は、茨城県水戸市に生まれた日本のジャーナリストであり、作家、そして軍事評論家です。彼は特に海軍に関する知識に長けており、その業績から"大海軍記者"と称されました。彼のキャリアには多くの名誉ある役職が含まれており、時事新報社取締役社説部長や共同通信社初代理事長などを歴任しました。

学生時代からのキャリアの始まり

伊藤は1913年に慶應義塾大学部理財科を卒業後、時事新報社に入社します。入社後は経済部や政治部で記者としての職務を全うし、また海軍省の担当記者としても活躍しました。彼は大正から昭和にかけて、時事新報社の海軍記者として活動し、黒潮会に参加していました。

ワシントン軍縮会議

1921年に開催されたワシントン軍縮会議では、伊藤は現地まで派遣されました。彼は後藤武男と共に、"日英同盟廃棄と四国協定成立"についての国際的なスクープを手に入れ、その報道によって大きな名声を得ました。この会議においては、主力艦の割合について7割論を主張しつつも、6割の妥結には賛成しました。

ジャーナリストとしての活動と影響力

時事新報社を退社した後、伊藤は同盟通信社参与や中部日本新聞社編集局長としても要職を歴任し続けました。彼は海軍の"ブレーントラスト"の一員でもあり、自己を"海軍のフレンド"と称していました。また、1941年から母校である慶應義塾大学で国防学について講義を行っていました。彼の意見は、戦時中や戦後のメディアにおいても影響力を持ち続けました。

戦後の活動と成果

戦後は、1945年に共同通信社の初代理事長として、通信社の再建に尽力しました。また1946年には「新聞倫理綱領」を作成する際に日本新聞協会を設立し、その初代理事長として新聞界の舵取りを行いました。さらに1950年に時事新報社の社長に就任し、産業経済新聞でも主幹を務めました。1956年には新聞文化賞を受賞し、その功績が評価されました。

書籍と戦史の著述

没するまでの間、伊藤は第二次世界大戦に関する多数の著作を発表し、そのいくつかは現在も再版されています。特に『連合艦隊の最後』は広く読まれ、ベストセラーとなりました。彼の著作は、日本の軍事史を広く知るための重要な資料となっています。

まとめ

伊藤正徳の生涯は、ジャーナリズムと軍事評論の両面で日本の歴史に深く刻まれています。彼の業績は今なお多くの人々に影響を与え続けており、その思想や観点は、現代におけるメディアや国防に関する議論にも引き継がれています。

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