伊藤裕司

伊藤裕司の芸術と功績

伊藤裕司（いとう ひろし）は、1930年9月3日に京都市で生まれ、2023年7月6日に逝去した日本の著名な漆芸家です。彼は日本藝術院の会員でもあり、京蒔絵を用いた独特な色漆の作品で知られています。本名は裕允（ひろのぶ）といい、京都市立日吉ヶ丘高等学校を卒業後、京都市立美術工芸学校で漆芸を専攻しました。

初期の教育と影響

伊藤は、山崎覚太郎に師事し、彼の指導の下で色漆技法を習得しました。1953年には『山海譜』を発表し、第9回日展に初めて入選。その後も、彼は日展において特選や会員賞を受賞し、合計で4回審査員も務めました。1964年には『触』と題する作品で日本現代工芸美術展に初入選し、以降もこの舞台での活躍が続きました。

芸術活動の発展

1970年には漆芸作家の集団である「フォルメ」を創設し、同志と共に前衛的な活動を行います。1978年には、第8回世界クラフト会議の漆分科会においてコーディネーターを務めるなど、国際的な舞台でもその名を知られるようになりました。1985年からは、紺綬褒章を受章するなど、数多くの栄誉が彼に与えられました。

豊かな受賞歴

1990年には京都府文化賞功労賞、1995年には京都市芸術功労賞を受賞しました。さらに、2000年には文化庁長官表彰も受け、2004年には農林水産大臣賞と日本藝術院賞の両方を獲得しました。特に、日本藝術院賞の受賞は、彼の芸術的な貢献と卓越性を認められた重要な出来事です。また、2011年には日本漆工協会の漆工功労賞と日本藝術院の会員に任命され、2018年には旭日中綬章を受章しました。

彼のコレクション

伊藤の作品は、日本藝術院や東京国立近代美術館工芸館、京都国立近代美術館など、国内の主要な美術館や施設を通じてコレクションされています。また、伊勢神宮や熱田神宮、明治神宮などの聖地にも彼の作品が所蔵されており、その影響力は広範囲に及びます。

現在と今後

晩年も非常に活発に活動を続け、日本藝術院の会員として、公益社団法人日展の顧問、現代工芸美術家協会の常務理事として、多くの後進を指導し、漆芸の魅力を広める努力を続けていました。彼の作品や活動は、漆芸の新たな地平を切り開く一助となり、多くの人々に感動を与えました。伊藤裕司の芸術は、今後も多くの人々に影響を与え続けることでしょう。

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