伊賀流

伊賀流忍者の流派概要

伊賀流（いがりゅう）は、三重県伊賀市と名張市が根拠地の忍術流派です。甲賀流と並んで特に知られている忍術の流派で、その独特の訓練法や歴史背景には興味深い点が数多くあります。普段は農業や行商をして各地域の情報を収集する一方で、指令が下されれば戦場やその後方に送り込まれ、工作活動を行うのが伊賀忍者の特徴です。

伊賀流の特徴

伊賀流と甲賀流の大きな違いは、主君への忠誠心の有無にあります。甲賀流の忍者が一人の主君に忠実なのに対し、伊賀流の忍者は金銭による契約に基づいて雇われるため、雇い主との関係は利益を基盤としたものでした。このため、伊賀郷士は異なる依頼主が対立する場合でも、両方に忍者を派遣することがありました。このような環境では、仲間であっても厳格に判断し、必要ならば即座に処罰する精神が求められました。この考え方は、「抜忍成敗」という理念に集約され、裏切りや脱走は許されないとされました。

歴史的背景

伊賀の忍者の起源は、鎌倉時代から室町時代にかけての小領主の争いによるものです。この土地は農耕が難しく、特に渇水時には深いひび割れができるなど厳しい条件下にありました。生き残るために、彼らはゲリラ戦の技術を磨き、傭兵として各地に出稼ぎました。戦国時代には伊賀守護仁木氏のもと、自治的な共同体「伊賀惣国一揆」が形成され、上忍三家と呼ばれる実力者たちがその意見を支配していました。

天正伊賀の乱

天正7年（1579年）には、伊賀忍者のある下山甲斐が命令を裏切り、織田信長の次男に忍び寄る機会を提供しました。この裏切りは第一次伊賀の乱を引き起こし、信雄軍は伊賀の人々によって大敗を喫します。続いて信長本人が第二次天正伊賀の乱を起こし、伊賀側は力を合わせて戦う決意をしますが、甲賀忍者からの裏切りによって敗北し、伊賀は次々と城を失いました。最後の拠点・柏原城が落ちたことで、天正伊賀の乱は終息を迎えました。

乱の後

乱後、伊賀の忍者たちは本能寺の変の知らせを聞いて蜂起し、各地で戦闘を繰り広げました。特に服部半蔵はその後、江戸時代に幕府に仕官することになり、忍者という職業が一般に知られるようになります。忍者としての身分が保証されたことで、江戸時代には多くの一揆鎮圧に参画することになりますが、次第に忍者としての活動は減少し、彼らは農業へと帰結するようになります。

著名な伊賀忍者

歴史に名を刻んだ忍者には、森田浄雲や百地丹波、植田光次などがいます。彼らはそれぞれ重要な役割を果たし、忍者の歴史を彩る存在でした。特に百地丹波は、何度かの戦いで生死が不明となっており、その後数多くの後継者に影響を与えました。

結論

伊賀流忍者は、単なる戦士ではなく、情報を収集し、戦略を練るための高度な技能を持った存在でした。彼らの歴史は、忍者という職業の持つ奥深さや魅力を物語っています。

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