伊賀鉄道伊賀線

伊賀鉄道伊賀線：忍者の里を走るローカル線の魅力

伊賀鉄道伊賀線は、三重県伊賀市を走る全長16.6kmの鉄道路線です。伊賀上野駅から伊賀神戸駅を結び、「忍者線」の愛称で親しまれています。2007年10月1日、近畿日本鉄道から伊賀鉄道へ運営が移管され、地域に密着した運営で新たな魅力を生み出しています。

歴史と変遷：伊賀軌道から伊賀鉄道へ

伊賀線の歴史は古く、1916年、伊賀軌道によって伊賀上野駅（当時は上野駅連絡所）-上野町駅間が開業したのが始まりです。その後、伊賀鉄道、伊賀電気鉄道と社名を変え、大阪電気軌道を経て参宮急行電鉄（現在の近畿日本鉄道）の路線となりました。1964年には伊賀神戸駅-西名張駅間が廃止されましたが、伊賀上野駅と伊賀神戸駅を結ぶ路線として現在も運行を続けています。

2005年、赤字路線として経営形態の見直しが検討され、近鉄が施設を保有し、近鉄と伊賀市が出資する伊賀鉄道が運営・運行する上下分離方式が採用されました。2007年の移管後、伊賀市は年間最大約0.6億円を支援し、伊賀線の存続に貢献しています。2017年には公有民営方式に移行し、伊賀市が鉄道施設を保有する体制となりました。

沿線と運行形態：忍者列車と無人駅

伊賀線は、伊賀上野駅、上野市駅、茅町駅、伊賀神戸駅の4駅を除き、終日無人駅です。ただし、駅員による巡回改札が行われることもあります。伊賀神戸駅は近鉄大阪線との乗り換え駅ですが、伊賀鉄道移管後は近鉄とは独立した有人改札が設けられ、乗り換えには一度改札外に出る必要があります。

1997年10月からは、漫画家松本零士氏デザインの「忍者列車」が運行されています。沿線の「忍者の里」というイメージを活かした取り組みは、伊賀線ならではの特色です。2024年3月9日からはICOCAが導入され、利便性がさらに向上しました。

運行形態はすべて普通列車で、伊賀上野駅-上野市駅間は1時間に1～2本、上野市駅-伊賀神戸駅間は20～40分間隔で運行されています。伊賀鉄道移管後は、伊賀上野駅-伊賀神戸駅間の全線を直通する列車も増えました。ラッシュ時以外は無人駅での乗降は列車最前部の扉のみの開放となり、不正乗車防止の対策も取られています。

利用状況と車両：東急からの譲渡車両

伊賀線の利用状況は、近年は減少傾向にありますが、地域住民の生活の足として重要な役割を担っています。輸送人員や営業成績は年によって変動があり、正確な数値については、国土交通省や伊賀鉄道の資料を参照ください。

車両は、近鉄時代は他線からの中古車が使用されてきましたが、2009年からは東京急行電鉄（東急）の1000系電車を譲り受けた200系が導入されました。200系は伊賀鉄道初の自社所有車両であり、その導入にあたってはホーム改修工事も実施されました。現在では、全線でICOCAなどの交通系ICカードが利用可能です。

将来展望：地域社会との連携

伊賀線は、地域住民の生活に密着したローカル線として、これからもその役割を果たしていくことでしょう。近年は、ICOCA導入や新駅設置など、利用者利便性向上のための取り組みが積極的に進められています。

今後、伊賀線は、地域社会との連携を深め、より魅力的な路線として発展していくことが期待されます。

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