伊集院兼善

伊集院兼善（いじゅういん かねよし）

伊集院兼善は、1817年に薩摩藩士・伊集院作平次の三男として生まれ、幕末から明治にかけて活躍した人物です。彼は、初期には薩摩藩士として活動し、その後、明治政府の内務官僚に転身しました。彼の経歴は、激動の時代を生き抜いた官僚の姿を映し出しています。

経歴

明治維新後、伊集院兼善は政府に出仕し、明治5年（1872年）頃には出納大属に任ぜられました。その後、1874年に鳥取県権参事に転じ、参事に昇格。1876年には高知県参事に転じ、さらに大書記官に昇進しました。これらの役職を通して、彼は地方行政の実務を経験しました。

1878年には、内務少書記官として中央官界に入り、社寺局に勤務しました。彼は、この時期に中央政府の政策立案や執行に携わることで、より高度な行政能力を養ったと考えられます。

そして1882年11月、伊集院兼善は高知県令に就任しました。県令とは、現在の県知事に相当する役職であり、地方行政の長として県政を担いました。しかし、彼の県政運営は、前任の田辺輝実とは大きく異なりました。伊集院は、自由党の関係者を県庁や学校から排除する強硬な政策を打ち出したため、県政は混乱し、県民からの批判も招きました。このような強硬な姿勢は、彼の行政官としての姿勢を物語るものと言えるでしょう。

伊集院兼善は、高知県令在任中の1883年3月に亡くなりました。彼の急逝は、高知県政にさらなる混乱をもたらしたと考えられます。

親族

伊集院兼善の家族構成は以下の通りです。

長男：伊集院兼寛（貴族院子爵議員）
長女：須賀（西郷隆盛夫人、後に離婚）
次女：里（蒲生清緝夫人）
三女：澄（岩元常方夫人）
* 四女：光子（井上良馨夫人）

特に注目されるのは、長女の須賀が西郷隆盛の夫人であったことです。しかし、後に離婚しており、その背景には様々な事情があったと考えられます。また、他の娘たちもそれぞれ名門の家柄に嫁いでおり、伊集院家が当時、社会的に高い地位にあったことを示しています。

まとめ

伊集院兼善は、幕末から明治という激動の時代を生きた官僚です。薩摩藩士から内務官僚へと転身し、地方行政の長である県令を経験しました。高知県令としての強硬な政策は県政に混乱をもたらしましたが、彼の経歴は、明治初期の官僚の姿を現代に伝える貴重な資料と言えるでしょう。彼の生涯は、日本の近代化を支えた人々の姿を浮かび上がらせます。

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