伍驥

伍驥（ご き、1416年 - 1465年）は、明代に活躍した官僚であり、同時に軍人としての顔も持つ人物です。字（あざな）は徳良、また体純とも称しました。彼の本貫は吉安府安福県にあります。

官僚としてのキャリアは、景泰5年（1454年）に進士に及第したことから始まります。その後、監察御史という役職に任じられ、朝廷の監察機関で重要な役割を担いました。監察御史は、地方官の不正を監視し、朝廷に報告する職務であり、公正な政治を行う上で欠かせない役職でした。伍驥の選任は、彼がその職務を全うするだけの能力と人格を備えていたことを示しています。

天順7年（1463年）、伍驥は巡按福建を命じられます。この時、福建省上杭県で反乱が発生しており、その鎮圧のために派遣されたのです。反乱は一進一退の攻防を繰り広げており、都指揮僉事の丁泉が善戦して反乱軍の城攻めを全て撃退していました。しかし、反乱軍は転進の動きを見せていたため、事態は予断を許さない状況でした。

伍驥は事態を重く見て、汀州に急行します。そして、彼は単身で反乱軍の陣地に乗り込むという大胆な行動に出ます。武装した反乱軍は、突然現れた御史である伍驥に対して刃を向けましたが、彼は落ち着いた態度で、反乱軍の指導者たちに利害を説き始めます。この説得が功を奏し、1700戸余りの人々が伍驥に帰順しました。帰順した人々には牛が供与され、生活を立て直すための支援が行われました。しかし、反乱軍の首領である李宗政は、なおも服従しようとしませんでした。

そこで、伍驥は丁泉とともに、李宗政の軍勢を攻撃することになります。丁泉は奮戦しましたが、反乱軍に殺害されてしまいます。伍驥は、まず戦死者を弔い、負傷者を労いました。その上で、反乱軍と再び戦い、18の寨を連破し、800人余りを捕らえたり斬首したりして、反乱を鎮圧することに成功しました。しかし、この反乱鎮圧の過程で伍驥は風土病にかかってしまいます。凱旋した後、彼は上杭県で病死しました。

伍驥の死後、成化11年（1475年）に、知県の蕭宏の請願により、伍驥と丁泉の功績を讃える褒忠祠が上杭県に建てられました。この祠は、二人の忠誠心と勇敢さを後世に伝えるために建立されたものです。伍驥の息子には、伍希閔（字は仲孝）がいました。

伍驥は、その生涯を通して、明朝のために尽力した人物でした。官僚としては公正な政治を行い、軍人としては反乱を鎮圧するという、文武両道の活躍を見せました。彼の行動は、後の世代に大きな影響を与え、その功績は長く語り継がれています。

参考文献

* 『明史』巻165 列伝第53

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