伏せ越し

伏せ越し工法について

伏せ越し（ふせこし）は、水路の工事における特殊な技術であり、用水や排水施設が河川や他の水路と交差する際に使用されます。この工法は逆サイフォンの原理を応用し、河川や水路の河底を通過させる構造を持つ工作物を指します。具体的には、施工方法として開削工法が用いられます。

概要と特徴

伏せ越し工法が特に必要とされるのは、開渠部分、すなわち水路が地上に開かれている部分が河川法の対象となる河川や他の水路と交わる場合です。この場合、高低差が大きい場合には、高い場所に位置する水路から逆サイフォンを利用して水を自然に流下させることが行われます。

歴史的背景

この工法は、古くからさまざまな水路で用いられてきました。例えば、埼玉県の「柴山伏越」や、大阪府の「久左衛門樋」は、歴史的に重要な水路の一例で、伏せ越し工法が施されています。さらに、周囲が河川に囲まれている輪中地域では、周囲の河床の上昇に伴って排水が困難になることがあります。このような状況を解決するために、下流側の河川の下を通過する「伏越樋」が設置されることがあったのです。大垣輪中の「鵜森伏越樋」がその代表例です。

現代の利用

現代においては、鉄道などの交通インフラの下を通る水路にもこの工法が利用されており、鉄道用語では「伏樋」とも称されています。具体的には、鉄道軌道の下を伏せ越しすることで、サイフォンのような効果を持たせています。その一方で、シールド工法や推進工法（小口径管推進工法を含む）による工事は「河底横過トンネル」と呼ばれ、伏せ越しとは区別されます。

結論

伏せ越し工法は、古くからの技術でありながら、現在においても様々な用水路や排水路に応用されている重要な工法です。その独特な構造は、特に高低差の大きい地域や輪中の排水問題を解決するための有力な手段となっています。歴史的な例から現代の利用状況まで、この工法の重要性は変わることなく続いています。

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