伯方・大島大橋

伯方・大島大橋

西瀬戸自動車道、通称「しまなみ海道」を構成する主要な橋梁の一つに、伯方・大島大橋があります。この橋は、愛媛県の伯方島と大島を結んでおり、正式には西瀬戸自動車道の一部として国道317号バイパスに指定されています。

この橋の最大の特徴は、単一の橋ではなく、伯方橋と大島大橋という二つの橋が一体となって運用されている点にあります。架設地点は、伯方島と大島が最も接近する「宮窪瀬戸」です。この瀬戸のほぼ中央に位置する無人島、見近島を境に、伯方島側には伯方橋、大島側には大島大橋が架けられています。

伯方橋は、3径間連続鋼床板箱桁橋と呼ばれる形式を採用しています。一方、見近島を挟んだ大島側の大島大橋は、単径間2ヒンジ補剛箱桁吊橋という異なる構造の吊橋です。このように形式の異なる二つの橋が連続していますが、見近島には自動車用の出入口が設けられていないため、一般のドライバーが意識する上では、二つの橋は一体の「伯方・大島大橋」として扱われています。自動車が乗り降りできるのは、伯方島側と大島側の本線出入口のみです。

伯方・大島大橋は、1988年1月17日に供用が開始されました。全長は1230メートルに及びます。道路構造としては、第1種3級に分類されており、設計速度は80km/hですが、現在の規制速度は70km/hとなっています。車線数は暫定2車線での運用が続いています。

本州四国連絡橋の中で、自動車専用道路部とは別に、歩行者や自転車、原動機付自転車（原付バイク）が安全に通行できる専用の道が併設されているのも、しまなみ海道の多くの橋に共通する特徴であり、伯方・大島大橋も例外ではありません。この併設道を利用することで、徒歩や自転車などでも島々を渡ることができます。

また、この併設道を経由することで、見近島に立ち入ることが可能です。ただし、見近島には自動車用の施設がないため、自動車で島に降りることはできません。歩行者、自転車、バイクの利用者のみが、見近島への出入りを許されています。

伯方・大島大橋を含むしまなみ海道の橋では、海上という特殊な環境のため、強風時の安全確保が重要となります。風速が15m/sに達した場合、歩行者道およびバイク道は通行止めとなります。同時に、自動車専用道路部でも二輪車の通行が禁止され、四輪車に対しても50km/hの速度規制が実施されます。さらに風速が25m/sに達した場合は、自動車専用道路部も完全に通行止めとなり、橋を渡ることができなくなります。利用者は、気象状況に応じて最新の交通情報を確認する必要があります。

通行料金は、区間や車種によって定められています。2007年4月時点の情報によると、伯方島から大島北までの4.3kmの区間における通行料金は以下の通りです。

歩行者：無料
自転車・原付：50円
軽自動車：400円
普通車：550円
中型車：650円
大型車：850円
* 特大車：1,550円

これらの情報は、2007年時点のものであり、現在の料金体系とは異なる可能性がある点に留意が必要です。

このように、伯方・大島大橋は二つの異なる構造を持つ橋が一体となった珍しい形態を持ちながら、西瀬戸自動車道の一部として、物流や観光の重要な役割を担っています。また、自動車だけでなく、歩行者や自転車、バイクの利用者にも開かれた橋として、多様な移動手段に対応している点も特筆されます。宮窪瀬戸の美しい景観の中で、その特徴的な姿を見せています。

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