伸びゆくふるさと

鳥取市民歌「伸びゆくふるさと」

鳥取市民歌「伸びゆくふるさと」（とっとりしみんか のびゆくふるさと）は、鳥取県の県庁所在地である鳥取市によって制定された、現在の市民歌である。これは同市にとって2代目の市民歌にあたる。作詞は伊藤學、作曲は山根万里が手がけた。

この歌が制定される以前、鳥取市には1948年（昭和23年）10月1日に市制60周年を記念して制定された初代の「鳥取市民歌」（作詞：松本光雄、作曲：岡本新市）が存在していた。しかし、平成の大合併において、鳥取市は近隣の8つの町村を編入し、市域を大幅に拡大した。この合併に際し、関係する市町村間で組織された合併協議会において、新たな市民歌を制定する合意が形成された。

これに基づき、合併から1年後の2005年（平成17年）に、新しい鳥取市にふさわしい市民歌の歌詞が公募された。応募された作品の中から、伊藤學氏の詞が選定された。選定の理由としては、新しい鳥取市が持つ豊かな自然、積み重ねられた歴史、独自の文化、そして未来への希望や祈りが歌詞の中に織り込まれている点が高く評価された。また、曲についても、市民が歌いやすく、広く親しまれる要素を持っていることが決め手となった。

発表演奏は、鳥取市が特例市に指定された月の翌月であり、かつ合併から1周年を迎えた2005年（平成17年）11月1日に実施された。この歌は制定当初、合併前の市民歌と区別するため、暫定的に「新鳥取市民歌」のような形で呼称されることもあった。その後、改めて正式な題名を公募し、様々な候補の中から「伸びゆくふるさと」という名称が選ばれ、2012年（平成24年）10月1日にこれが正式な歌の題名として決定された。

鳥取市では、この市民歌を様々な市の行事で広く活用している。例えば、市制施行記念式典や新年市民合同祝賀会をはじめとする重要な式典やイベントにおいて歌唱されているという。さらに、制定から10年目にあたる2014年（平成26年）には、合併10周年を記念して、吹奏楽版および三部合唱版への編曲が行われた。これらの編曲版は、より多くの市民に歌に親しみ、演奏してもらえるよう、鳥取市の公式ウェブサイト上で楽譜が公開されている。

このように、「伸びゆくふるさと」は、鳥取市の歴史的な節目である平成の大合併を契機に誕生し、初代市民歌からその役割を引き継ぎ、新たな鳥取市の象徴として市民に歌い継がれている。その歌詞には市の特性と未来への展望が込められており、様々な機会を通じて市民のアイデンティティ形成や一体感の醸成に寄与している。

もう一度検索