伺方

伺方（うかがいかた）について

伺方（うかがいかた）は江戸時代の幕府に存在した職名で、主に勘定所の一部門を指します。この職名は、江戸幕府が財政管理を効率的に行うために設けたもので、特に勘定所に所属する職員を意味しています。伺方を構成する勘定衆は、勘定組頭と呼ばれる二名の指導者のもと、役割分担をしながら業務を行っていました。

伺方に属する職員

江戸時代後期には、勘定衆の数は約230名に達しましたが、その中から伺方に配属されるのはおおよそ40名程度でした。伺方の職員は、さまざまな専門的な業務を担当しており、具体的には以下のいくつかの職掌に分類されます。

• - 中之間掛: 幕府領内の小物成や高掛物を扱います。この役職は財政の重要な局面に関わるため、特に注意深い管理が求められました。
• - 神宝方: 幕府に関連する寺社の修造に関する事務を担当し、文化財や神社、仏閣の保護に寄与しました。
• - 御林方: 幕府領の山林を管理し、資源の適切な利用を目指して活動しました。
• - 御鷹方: 将軍の鷹狩や鹿狩など、狩猟に関わる事務を行い、武士社会における重要な文化的側面を支えました。
• - 運上方: 運上や冥加、分一と呼ばれる税金などを扱う業務を担当しました。
• - 諸入用方: 幕府代官への経費の支給や貸付などの事務を行い、地方行政の円滑な運営に寄与しました。
• - 証文調方: 代官所や預所から発信される文書を整理し、情報の正確な記録管理を行いました。
• - 吟味物掛: 勘定所における各種申請の審査業務を担当し、特に港や市場の設置、運上や小物成の免除に関する申請が対象でした。
• - 酒造掛: 酒造業を監視し、酒株やそれに関わる業務を管理しました。
• - 金集掛: 無役金や上納金の取立を行い、財政運営に寄与しました。

まとめ

伺方は、江戸幕府の財政運営や行政において、統制と管理を担った重要な部門であり、その職務は多岐にわたっていました。このような職掌を通じて、幕府の政治や経済が維持され、また、文化や社会基盤の保護にも関与していました。この制度は単なる組織にとどまらず、幕府の運営の骨格を支えた重要な役割を果たしていたと言えるでしょう。 伺方に関する詳細は『国史大辞典』などの参考文献で確認できます。

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