勘定所

勘定所（かんじょうしょ）

勘定所は、江戸時代において江戸幕府やさまざまな藩、旗本などの組織が設置した、財政や民政を扱う重要な役所でした。勘定所の具体的な設置時期は明確には記録されていませんが、慶長10年（1605年）には既に存在していたとされます。江戸時代の初めは、徳川家康が駿府で行った政治と、秀忠が江戸で行った政治という二元体制が取られており、それぞれに勘定所が設けられていました。しかし、元和2年（1616年）に駿府政権が解体され、江戸の勘定所に統一されました。

組織と役割

勘定所の最高責任者は、老中に支配される勘定奉行であり、元禄期までは勘定頭と称されていました。家光の時代には、幕領や代官の支配、金銀の出納業務が寄合衆や留守居の仕事に割り当てられていましたが、寛永19年（1642年）からは再び勘定頭の職務に統一されました。
勘定所の組織は、万治から寛文期にかけて勘定頭、勘定組頭、勘定、支配勘定という階級に整備されました。江戸中期以降は、江戸城内に設置された御殿勘定所と大手門近くの下勘定所の二つに分かれて機能していました。
一般財政を扱う御殿勘定所には御殿詰および勝手方が置かれ、地方財政を扱う下勘定所には取箇方、道中方、伺方、帳面方などの多数の係が配置されていました。

享保6年（1721年）には、勘定所は勝手方と公事方に分けられ、さらに勘定奉行や幕府の財政監査を行う勘定吟味役もそれぞれの方に配置されるようになりました。享保8年（1723年）には機構改革が実施され、関東や上方の人員が統一的に配置されるようになりました。

勘定所の役割は多岐にわたり、具体的には次のような業務がありました：

• - 御殿詰: 各役所から提出される経費の書類決裁や米相場、および分限帳の検査を担当。
• - 勝手方: 金座、銀座、朱座の監督や御家人への給米を担当。
• - 取箇方: 天領内での徴税など、主に経済に関する事務を担当。
• - 道中方: 交通の要所の管理を行う業務を担当。
• - 伺方: 雑務の監督や経理業務を担当。
• - 帳面方: 各役所などからの帳簿を検査し、勘定奉行承認の下で決算書を作成。

このように、勘定所はさまざまな役割を通じて幕府の財政運営を支えました。下勘定所はその後、1867年6月に江戸城内の西の丸に移転し、その後も手狭なために他の場所に移されました。

廃止とその後

しかし、勘定所は慶応4年（1868年）5月に新政府による江戸鎮台の設置により廃止され、その役割が民政裁判所に引き継がれました。その後、同年8月には会計局、10月には会計官出張所と改称され、最終的には明治2年（1869年）に大蔵省に吸収される形となりました。

藩における勘定所

藩においても勘定所は存在し、藩財政や租税の徴収業務を担当しました。勘定奉行の職は藩内で重要な位置を占めており、比較的上士が任命されることが多かったのです。藩の勘定方の役人たちは、実務を直接に扱い、藩財政の健全な運営に寄与していました。

このように、勘定所は江戸時代の日本の財政構造において極めて重要な役割を果たしていました。

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