低カリウム血症

低カリウム血症についての詳細

低カリウム血症（ていカリウムけっしょう）とは、血液中のカリウム濃度が正常値を下回る状態を指し、特に血清カリウム濃度が3.5mEq/L未満に低下することを意味します。この状態は、体内の電解質代謝に関わる異常の一つで、さまざまな病気や健康問題の一症状として現れることがあります。

カリウムの役割と調整機構

カリウムは細胞内で重要な役割を果たし、神経伝達や筋肉の収縮に寄与しています。39kgの成人では、約3500mEqのカリウムが存在し、その98%は細胞内で、2%ほどが血液等の細胞外に存在します。通常、食事からのカリウム摂取量は1日に約40〜150mEqと変動し、体内では尿中と便中の排泄によって調節されています。特に腎臓は、この排泄の主な役割を担っており、カリウムの摂取量が増加すると尿中への排泄が促進されます。

低カリウム血症の原因

低カリウム血症は、主に以下の要因によって引き起こされます：

• - 腎臓または消化管での過剰排泄：例えば、慢性の下痢や利尿剤の使用が影響します。
• - 食事からの摂取不足：低栄養や拒食症、極端なダイエットなどが原因となります。
• - 細胞内へのカリウム移動の亢進：ストレスやホルモンの変化が関与します。

症状

低カリウム血症の症状はその重症度によって異なります：
1. 軽度（K 3.0-3.5 mEq/L）：特に感じられない場合が多く、血圧や不整脈が見られることもあります。
2. 中程度（K 2.5-3.0 mEq/L）：消化器系の不調（例えば、吐き気や食欲不振）、筋力の低下、多尿といった症状が現れることがあります。
3. 重度（K < 2.5 mEq/L）：麻痺や筋肉の強い痙攣を引き起こし、命に関わる状態になることもあります。

診断と治療

低カリウム血症を診断するためには、カリウムレベルの測定が行われ、腎臓からの排泄の亢進や摂取不足があるかどうかを評価します。低カリウム血症の治療は、原因を特定した上で、軽度の場合は経口からのカリウム摂取を行いますが、中等度から重度の場合は点滴によるカリウム補充が必要です。カリウム補充の際は、腎機能の状況を考慮しつつ、段階的に行うことが重要です。

注意点

低カリウム血症によって、心電図に変化が見られることがあり、特にT波の異常、U波の出現などがみられることがあります。このような変化が見られる場合は、突発的な心疾患のリスクを伴うため、早期の医療介入が必要です。

このように、低カリウム血症は多くの病理的な要因と関連があり、その症状は多岐にわたります。早期に医療機関を受診し、必要な処置を受けることが大切です。

もう一度検索