住友不動産原宿ビル

住友不動産原宿ビル（すみともふどうさんはらじゅくビル）は、日本の首都東京都渋谷区神宮前二丁目に位置する、地上20階、地下1階建ての超高層建築物です。このビルは、渋谷、原宿、表参道という多様な文化とビジネスが交差するエリアにありながら、落ち着いた雰囲気を持つ神宮前二丁目のビジネス環境に貢献しています。

現在の住友不動産原宿ビルが建設される以前、この場所には異なる歴史が存在しました。1971年（昭和46年）から2000年（平成12年）までの長きにわたり、日本の主要なアパレル企業の一つであるレナウン株式会社の本社ビルがここに置かれていました。レナウンがこの地を本社機能の中枢拠点としておよそ30年間にわたり利用したことは、当時の神宮前周辺がファッションやデザイン産業にとっても重要な地域であったことを示唆しています。

この旧レナウン本社ビルの建設には、興味深いいきさつがあります。ビルが建てられる以前の広大な敷地には、かつて数百坪に及ぶ規模の屋敷が二棟存在していたと伝えられています。レナウンは、新たな本社ビル建設のためにこれらの屋敷地を取得しました。そして、旧本社ビル自体の建設工事は1969年（昭和44年）に着工されました。その後、約30年間の使用を経て、レナウン本社ビルはその役割を終え、現在の住友不動産原宿ビルへと建て替えられることとなります。

住友不動産原宿ビルとなって以降、このビルは多くの企業にオフィススペースを提供してきました。その中でも、2010年代初頭には主要なテナントのオフィス移転がいくつか報じられています。特筆すべきテナントの動向として、2010年から2011年にかけて見られた主要企業のオフィス移転が挙げられます。

例えば、オンラインクーポン事業で知られるグルーポン・ジャパンは、2010年10月に当ビルから移転しました。同社は当時、16階から20階にかけてフロアを占めていた株式会社ミクシィの利用区画の一部、具体的には17階で事業を展開していましたが、この時期に同じく住友不動産が開発した渋谷ファーストタワーの5階へと拠点を移しています。これは、特定の企業が他の企業のリース区画内にサテライトオフィスや特定部署を置くという、当時のオフィス利用形態の一例を示すものです。

さらに、そのわずか半年後の翌2011年4月には、当ビルの広範なフロア、すなわち16階から20階までの全てのスペースを利用していた株式会社ミクシィそのものが、本社機能を渋谷ファーストタワーへ集約することを決定し、移転を完了させました。大規模なフロアを借り上げていた主要テナントの移転は、ビル全体のオフィス構成に大きな影響を与えたと考えられます。

これらの連続した移転は、当時、特にインターネット関連企業やIT企業のオフィスニーズが渋谷エリアに集中し始めていた傾向を示す一例として注目されました。渋谷駅周辺における大規模再開発が進むにつれて、多くのIT企業やスタートアップが渋谷エリアを新たな拠点として選ぶ動きが活発化しており、住友不動産原宿ビルからのこれらの移転も、そうした広範なオフィス移転の波の一部であったと言えます。

住友不動産原宿ビルは、地上20階建てという超高層建築として、周辺地域のランドマークの一つとなっています。現代的なオフィス環境を提供し、多様な企業の活動を支える拠点として、現在もその役割を担っています。神宮前二丁目という立地は、交通アクセスも比較的良好であり、ビジネス活動を行う上で魅力的な環境を提供しています。ビルの歴史は、かつてのレナウン本社時代を経て、現代のオフィスビルへと変遷しており、この地の歴史の一部を形成しています。

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