グルーポン・ジャパン

グルーポン・ジャパンの概要

グルーポン・ジャパンは、かつて日本で共同購入型クーポンを提供していた企業です。米国のGroupon Inc.の日本法人として、2010年に日本市場に参入しました。様々な割引クーポンを販売し、一時は日本国内でも広く利用されましたが、2021年に解散しました。

沿革

2008年11月に米国で創業したグルーポンの日本法人として、2010年8月に日本進出を表明しました。同月、共同購入型クーポンサイトを運営していたクーポッドを買収し、同年10月1日に社名をグルーポン・ジャパン株式会社に変更しました。

年表

2008年11月 - 米国でグルーポン社が創業。
2010年
6月4日 - インフィニティ・ベンチャーズLLPとパクレゼルヴの廣田朋也らにより、グルーポン・ジャパンの前身にあたるクーポッド（Q:pod）株式会社が創業。
7月 - Q:podサービス開始。
7月8日 - ミクシィらによるベンチャーキャピタルファンドIVP Fundから2億円の投資を受ける。
8月3日 - 月間売上No.1（1600万円）を達成。
8月18日 - 米国GROUPON社が1000万ドルでクーポッドを買収。
9月1日 - 支払方法にBitCashを導入。
9月27日 - クーポンの売上総額が1億円を突破。
10月1日 - 社名をグルーポンジャパン株式会社に変更。
10月4日 - 本社を渋谷区の住友不動産原宿ビルから同区住友不動産渋谷ファーストタワーに移転。
10月27日 - クーポンの売上総額が10億円を突破。
12月 - 全国47都道府県でサービスを展開。
2011年
1月 - 「スカスカおせち事件」が発生。
3月 - 東日本大震災に伴い一時的にサービス停止、義援金募集。
4月1日 - セレージャテクノロジーによる調査で、3月のクーポン売上総額は約4億8,000万円で、3ヶ月連続の売上減。ポンパレに初めて首位を譲る。
7月28日 - 時間限定クーポン「グルーポン・ナウ (Groupon Now!)」を開始。
2012年4月2日 - クーポンJPによる調査で、3月のクーポン売上総額がポンパレの約18億円を下回り、初めて首位を譲る。
2013年8月1日 - 根本啓が代表取締役CEOに就任。
2014年
10月31日 - 「おせち・お正月特集」を11月13日より開始すると発表。
11月13日 - 2011年の「スカスカおせち事件」以来、4年ぶりにおせちの販売を再開。
2020年9月28日 - 日本市場からの撤退を決定し、同日をもってクーポンの販売を終了。購入済みのクーポンは同年12月27日まで使用可能とし、有効期限がそれ以降のクーポンについては返金対応。
2021年
5月10日 - 共同創業者のインフィニティ・ベンチャーズLLPは成功例として当時を振り返った。
6月15日 - 株主総会の決議により解散。
12月14日 - 法人格消滅

サービス不提供の完全免責規約

グルーポン社では、購入したクーポンについてサービスの提供を保証するものではなく、トラブルが発生した場合でもグルーポンは一切責任を負わないという免責事項が利用規約に記載されていました。

不祥事・事件

グルーポン・ジャパンは、サービス開始から様々な問題が発生しました。

iTunesカード配送遅延: 2010年8月、iTunesカードを大幅割引で販売した際、提供会社のトラブルにより配送が遅延し、購入者に謝罪しました。
偽造クーポン: 2010年12月、たいやき店の割引クーポンが偽造され、店舗側が大きな損害を被る事件が発生しました。グルーポンの対応も不十分だったため、店舗はクーポンの使用を中止しました。
スカスカおせち事件: 2010年末に販売したおせち料理が、広告写真とは異なる粗悪な内容であったとして、多数の苦情が発生しました。この事件はグルーポンの評判を大きく損なうものとなり、消費者庁からも景品表示法違反を指摘されました。
クーポン販売後利用条件変更: 2011年1月、ランチ50%OFFクーポンの利用条件を、1000人の共同購入者を集めた後に平日限定に変更しました。当初の情報と異なる条件に変更したため、利用者の不満を招きました。
顧客情報紛失: 2011年1月、社員が業務用ノートパソコンを紛失し、その中に顧客や取引先の情報が含まれていたことが発覚しました。
店舗との契約無断変更: クーポン掲載後に契約にない飲み放題が付加されていたことが発覚しました。グルーポン側は訂正を行うと回答しましたが、実際にはメールが届かず、来店時に特典を求める客が現れるなど混乱を招きました。
未契約でクーポン無断販売: ケーキショップが、契約していないにも関わらず、ダイレクトメールでチーズケーキが半額で販売となっていたことを知りました。グルーポン側は一方的に掲載し、契約書も提示しなかったため、店側が抗議する事態となりました。
割引クーポン券で客が殺到し赤字に: 美容室経営会社がグルーポンで割引チケットを販売したところ、グルーポン側の説明よりも遥かに多い人数が殺到し、赤字が出たためグルーポンを訴えました。裁判所はグルーポン側の虚偽説明について「証拠がない」とし、訴えを退けました。
* 契約より多いクーポンを発行: 飲食店がグルーポンと500枚のクーポン販売契約を結びましたが、実際には2000枚が販売されたため、損害賠償を求める訴訟を起こしました。

まとめ

グルーポン・ジャパンは、共同購入型クーポンという新しいサービスを日本に導入し、一時は大きな成功を収めました。しかし、サービス内容の不備や顧客対応の不手際が重なり、最終的には日本市場から撤退しました。その過程で、様々な不祥事や事件が発生し、消費者からの信頼を失う結果となりました。

これらの出来事は、インターネットビジネスにおける信頼性の重要性を示す教訓として、今もなお語り継がれています。

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