住吉橋 (小田原市)

住吉橋の全貌

住吉橋（すみよしばし）は、神奈川県小田原市にある小田原城の濠に架かる重要な橋です。この橋は歴史的にも文化的にも豊かな背景があり、地域の観光名所としても知られています。

歴史的背景

住吉橋は、江戸時代に整備された小田原城の二の丸と馬屋曲輪・御茶壺曲輪の間、住吉濠の上に掛けられています。最初に文献に記録されたのは1644年から1645年頃とされており、当初は木製の橋でした。1672年には石垣のかさ上げが行われ、その後も1703年、1843年、1853年と数回にわたって地震による被害を受け、修理または架け替えが行われたことから、この橋は当時の技術や耐震対策の変遷を物語っています。

特に、宮内庁に保存されている1703年の小田原城絵図には、橋の具体的な構造が記されており、幅や長さ、そして使用されている材料についても詳細に記載されています。1817年の文献では、当時の様子が「土橋」に変わっていたことも示唆されています。小田原城が御用邸として利用されていた1901年から1923年の間に橋も使用されていましたが、1923年の関東大震災によって崩落し、埋め立てられることになりました。

構造と復元

1986年の遺構調査により、橋の長さや幅、さらには構造に関する詳細が明らかになりました。この調査から、長さは約8メートル、幅は約5メートル、中央には松の丸太の柱が3本あったことがわかりました。復元工事は1988年から始まり、1990年1月には架梁式、4月には渡り初め式が行われました。使用された木材にはアメリカ産ヒバ材や吉野産ヒノキが選ばれ、耐久性と美観が兼ね備えられた設計がなされています。

1997年には銅門も復元され、住吉橋とともに小田原城の風景が再現されました。しかし、復元から25年以上が経過し、雨水などによる劣化が問題となりました。そのため、2016年から2018年にかけて再度の架け替え工事が行われ、新たな橋では水はけの良い傾斜が設計され、腐食防止のために銅板が使われるなどの工夫が施されました。

最近の出来事

2020年には、橋に植物油と思われる液体が撒かれる事件が発生し、地域の人々の関心を集めました。同年5月には職人がこの被害の修復作業を行い、橋の保全に努めました。

住吉橋はその歴史的背景や構造、そして復元にまつわるストーリーが多くの人々の興味を引き続けています。小田原を訪れた際には、ぜひこの橋を通り、その歴史を感じていただきたいものです。

もう一度検索