佐々木丸美

佐々木 丸美

概要

佐々木 丸美（ささき まるみ）は、1949年1月23日に北海道石狩郡当別町に生まれた日本の小説家です。その生涯は2005年12月25日まで続き、56歳で惜しまれつつこの世を去りました。

生涯と業績

生まれ故郷である北海道で高校生活を送り、北海道当別高等学校を卒業。その後、北海学園大学の法学部で学業を修めましたが、中途で退学しています。

作家としての歩みは、1975年に発表した「雪の断章」によって本格的に始まりました。この作品は、当時募集されていた二千万円テレビ懸賞小説において佳作に選ばれるという栄誉を得ました。デビュー作となった「雪の断章」は、発表から10年を経た1985年に映画化も実現しています。相米慎二監督によってメガホンが取られ、斎藤由貴氏が主演を務めた『雪の断章 -情熱-』として、多くの観客にその耽美な世界観が届けられました。

佐々木丸美氏は、「雪の断章」に続く作品群で、独自の文学世界を築き上げました。特に知られているのは、「孤児四部作」として括られる『雪の断章』、『忘れな草』、『花嫁人形』、『風花の里』、そして『崖の館』、『水に描かれた館』、『夢館』から成る「館シリーズ三部作」です。これらのシリーズ作品に加え、『恋愛今昔物語』や『ながれ星』、『橡家の伝説』など、多彩なテーマの作品を手がけました。

その作風は、抒情的な筆致で描かれる人間ドラマに、サスペンスやミステリーの要素が巧みに織り交ぜられるのが特徴です。特に、登場人物の心の機微を深く掘り下げ、読者を引き込む筆力には定評がありました。発表された作品の多くが、講談社から単行本や文庫として刊行され、広く読まれていきました。

没後と再評価

2005年12月25日、佐々木丸美氏は心不全のため永眠されました。享年56歳でした。

しかし、その文学的な功績は没後も色褪せることはありませんでした。2006年から2009年にかけての数年間には、未発表の草稿を除く、これまで発表された全ての作品が再び刊行されるという大きな動きがありました。これは、熱心なファンや家族の尽力によって実現した復刊運動の成果であり、佐々木作品が今なお多くの読者に愛されている証と言えるでしょう。復刊は、ブッキングや東京創元社（創元推理文庫）など、複数の出版社から行われ、新たな読者層にも届けられました。

また、2009年の年明けには、佐々木丸美氏の故郷ゆかりの地である小樽市にある小樽文学館にて、企画展「雪の断章・佐々木丸美展」が開催されました。これは、作家の生涯と作品世界を紹介する貴重な機会となり、多くの文学ファンが訪れました。

佐々木丸美氏の作品は、時を超えて読み継がれ、日本のミステリーや青春小説の一角を担う重要な存在として、その価値が再確認されています。

主な著作リスト

以下に、主な著作の一部を挙げます。

孤児四部作

雪の断章（1975年11月 講談社 / 他、講談社文庫、ブッキング、創元推理文庫より刊行）
忘れな草（1978年1月 講談社 / 他、講談社文庫、ブッキング、創元推理文庫より刊行）
花嫁人形（1979年2月 講談社 / 他、講談社文庫、ブッキング、創元推理文庫より刊行）
風花の里（1981年5月 講談社 / 他、講談社文庫、ブッキング、創元推理文庫より刊行）

館シリーズ三部作

崖の館（1977年1月 講談社 / 他、講談社文庫、創元推理文庫、ブッキングより刊行）
水に描かれた館（1978年8月 講談社 / 他、講談社文庫、創元推理文庫、ブッキングより刊行）
夢館（1980年3月 講談社 / 他、講談社文庫、創元推理文庫、ブッキングより刊行）

その他

恋愛今昔物語（1979年9月 講談社 / 他、ブッキングより刊行）
新恋愛今昔物語（1981年4月 講談社 / 他、ブッキングより刊行）
舞姫-恋愛今昔物語（1981年6月 講談社 / 他、ブッキングより刊行）
ながれ星（1981年11月 講談社 / 他、ブッキングより刊行）
橡家の伝説（1982年6月 講談社 / 他、ブッキングより刊行）
影の姉妹（1982年11月 講談社 / 他、ブッキングより刊行）
沙霧秘話（1983年2月 講談社 / 他、講談社文庫、ブッキングより刊行）
罪灯（1983年6月 講談社 / 他、ブッキング、創元推理文庫より刊行）
罪・万華鏡（1983年10月 講談社 / 他、ブッキング、創元推理文庫より刊行）
* 榛家の伝説（1984年11月 講談社 / 他、ブッキングより刊行）

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