佐々木指月

佐々木指月の生涯と業績

佐々木指月（ささき しげつ、1882年3月10日 - 1945年5月17日）は、明治から昭和にかけて活動した臨済宗の僧侶であり、米国における禅宗の普及に大きく寄与した人物です。本名は佐々木栄多で、号は曹溪庵とされています。

幼少期からの経歴

指月は三重県で生まれ、神官の父とその内縁の母のもとで育ちました。幼い頃から父親から論語を教わり、15歳の時に父を亡くしたことがありました。その後、仏師としての道を志し、東京美術学校の彫刻選科で学びました。在学中に臨済禅の修行を始め、1905年に卒業します。卒業後は陸軍に徴集され、日露戦争で軍務に従事しましたが、1906年に免官され、妻と結婚しました。

アメリカでの禅の布教

新婚の指月は、居士禅の教団「両忘協会」のアメリカ支部設立のため、宗活の指導のもとカリフォルニアへ渡ります。そこで初めての子供が生まれるも、禅共同体の運営は難航し、指月はオレゴン州に移って単身で働きます。その間に、シアトルでの生活を経て、1913年には日本に一時帰国することになります。

その後、1916年に渡米し、ニューヨークでアレイスター・クロウリーと出会い、詩作にも励むようになります。1920年には再び日本に戻り、米国への渡航後に仏教講話を始めました。1928年には宗活から臨済宗の承認を受け、米国仏教協会を設立しました。

戦時下の苦難と晩年

1941年、真珠湾攻撃後に日本人としての立場から逮捕され、FBIによって拘留されます。彼はアメリカへの忠誠心を示し続けましたが、健康状態が悪化し、1943年にようやく解放されます。1944年には最初の妻との離婚後、ルース・フラー・エヴェレットと再婚しました。

指月は1945年に亡くなり、遺灰はニューヨークの墓地に葬られました。彼の死後、彼が設立した米国仏教協会は米国第一禅堂へと名称変更され、彼の影響は今もなお続いています。

指導方法と著作

指月の指導スタイルは、主に公案を通じた参禅に基づいており、米国仏教協会で坐禅の指導は行わなかった特徴があります。彼の著作には、『郷愁』や『亜米利加夜話』などがあり、文学者としても活動していました。彼は文化的貢献とともに、当時の仏教の普及に尽力した人物であることが評価されています。

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