佐々波楊子

佐々波 楊子（さざなみ ようこ）の業績と生涯

佐々波楊子は、1932年12月2日に東京府で生まれた日本の経済学者です。彼女は、慶應義塾大学の名誉教授であり、国際経済学を専門としていました。旧姓は川島で、2023年5月17日に老衰で逝去しました。彼女の学問に対する情熱と貢献は、日本国内外で広く認識され、評価されています。

学校とキャリアの経歴

川島楊子は1955年に慶應義塾大学経済学部を卒業しました。その後、1957年にはハーバード大学の修士課程を修了し、国際的な経済問題に関心を持つようになりました。彼女は1959年から国連本部で経済調査官としてキャリアをスタートし、1962年には慶應義塾大学に戻り、産業研究所の助手職に就きました。

1963年には専任講師、1967年に助教授、1968年には同大学から経済学博士の学位を授与されました。彼女の博士論文は「経済成長と国際競争力」というテーマでした。1972年に慶應義塾大学の教授職に就任し、1997年に定年退官するまで、精力的に研究と教育に取り組みました。その後は名誉教授として活動し、明海大学でも教授職を務めました。

研究分野と業績

佐々波は多くの研究プロジェクトに関与し、国際経済学の領域で数々の重要な研究を行いました。彼女は特にアジア地域における工業製品貿易や、サービス貿易の自由化に関する実証分析に重点を置きました。特に1980年代から1990年代にかけて、彼女は日本の対中国直接投資や経済政策に関する研究を行い、これらのテーマに関する重要な成果をあげました。

彼女の業績には、1986年から1988年にかけて行った「中国工業製品貿易拡大の可能性とその影響」の調査が含まれ、多くの研究者と共同で行った国際的なプロジェクトでも貢献を果たしました。さらに、主な著書には『経済成長と国際競争力』（1968年）や『国際分業と日本経済』（1980年）などがあります。これらの著作は、経済学の分野で重要な文献として広く引用されています。

佐々波の影響と後進へのメッセージ

共同研究者の木村福成は、佐々波の追悼文において、彼女が当時の少数派であった女性研究者としての誇りと使命感を持って仕事に臨んでいたことを強調しました。また、彼女は国際派としても知られ、特に海外では一段と元気を発揮する姿が印象的でした。このように、佐々波は学問だけでなく社会全体においても多大な影響を及ぼす存在でした。

家族と遺産

私生活では、夫に建設省に勤めた都市工学研究者の佐々波秀彦を持ち、彼も筑波大学の教授として成功したキャリアを築いています。加えて、祖父には哲学者の芳澤謙吉、従姉には国際機関での活躍が知られる緒方貞子がいます。これらの背景は、彼女の特異な視点やアプローチにも影響を与えたのでしょう。

佐々波楊子の豊かな業績と彼女が残した知識は、今後も経済学の発展に寄与し続けることでしょう。彼女の学問に対する姿勢や情熱は、次世代へのメッセージとしても非常に重要です。

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