佐世保海軍工廠1号形蒸気機関車

佐世保海軍工廠1号形蒸気機関車

概要

佐世保海軍工廠1号形蒸気機関車は、かつて佐世保で運行されていた歴史的な機関車です。この機関車は、1904年にドイツのJ.A.マッファイ社によって製造され、日本の海軍省から発注されたものであり、工廠内の構内鉄道での使用を目的としていました。主に入れ替え用に設計されたため、非常に小型でありながらも、直線的で実用的な構造を持っています。

構造

この蒸気機関車の軸配置はB1であり、単式の2気筒を持つサイドタンク機関車の仕様です。全体の重量は約14トンで、小型機関車としては比較的小さな部類に入ります。これまでに日本に輸入された同社の製品は、比較的大型なタイプが主流でしたが、本機は特に小回りが利くように設計されています。

一般的に、当時のドイツ製の小型蒸気機関車はクラウス社のウェルタンクを装備していることが多い中、こちらはサイドタンクを採用しているのが特徴です。全体的な構造は、当時の蒸気機関車としては標準的なものであり、高い強度と安定性を誇りますが、運転台の後方は開放的な設計がなされているため、他の同時期の小型蒸気機関車と比べても独特の印象があります。連結器は、左右にバッファを備えたねじ式連結器が使用されています。

運用

第二次世界大戦が終結するまで、この機関車は佐世保海軍工廠内で使用され続けましたが、その具体的な運用についての記録はほとんど残っていません。海軍省の解体後、この機関車の一部は島原鉄道に譲渡され、その後西日本鉄道に販売されます。

西日本鉄道においては、機関車の運転台が改良され、背面に窓を設けたり、屋根が延長されたりしました。運用される際には、実用性を考慮して様々な改造が行われましたが、主な部品は元の形を保っています。大川線では、1951年まで使用され、その後運行を休止することとなりました。

主要諸元

• - 型式: B1サイドタンク式
• - 全長: 6500mm
• - 全高: 2850mm
• - 動輪径: 775mm
• - 従輪径: 600mm
• - 軸配置: 0-4-2（B1）
• - 弁装置: ワルシャート式
• - シリンダー（直径×行程）: 223mm×380mm
• - ボイラー圧力: 11.2atm
• - 火格子面積: 0.53m2
• - 全伝熱面積: 22.5m2
• - 運転整備重量: 14.0t
• - 燃料種: 石炭

佐世保海軍工廠1号形蒸気機関車は、鉄道ファンや歴史愛好者にとって特に興味深い存在であり、その活躍は日本の鉄道史に残る重要な一ページです。

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