佐伯徹

佐伯徹：映画・テレビドラマに活躍した名脇役

佐伯徹（さえきとおる）は、1950年代から1990年代にかけて、日本の映画およびテレビドラマ界で活躍した俳優である。数多くの作品に出演し、個性豊かな脇役として幅広い世代から支持を集めた。本名は、大久保正。愛知県名古屋市で生まれ、茨城県土浦市で育った。

早期経歴と劇団生活

佐伯は無線電信講習所を卒業後、第二次世界大戦に従軍。復員後は、青春座に入団して俳優としてのキャリアをスタートさせた。その後、池袋文化劇場、ムーランルージュ新宿座など、複数の劇場や劇団に所属。劇団新風俗、高田稔劇団、森川信劇団、吉本興業といった、多様な劇団での経験を経て、フリーランスとして活動した時期もあった。1962年には、須藤健や長門勇らと共に西岡プロの創設に参加。その後はさむらいプロ、エヌ・エー・シーと所属プロダクションを変えながら、俳優としての道を歩み続けた。

映画・テレビドラマでの活躍

映画全盛期とテレビ放送開始初期という時代を駆け抜けた佐伯は、1950年代から1990年代にかけて、数多くの映画やテレビドラマに出演した。東宝、松竹、東映といった大手映画会社制作の作品から、インディペンデント作品まで幅広く参加し、個性豊かな脇役として作品に深みを与えた。

特に、1956年に放送されたテレビドラマ『特ダネを逃がすな!』では主演を務め、人気を博した。他にも『怪人二十面相』などの主演作や、『特別機動捜査隊』、『水戸黄門』といった人気シリーズへの出演など、数々の重要な役柄を演じている。その演技力は、時代劇から現代劇まで、多様なジャンルで発揮され、多くの視聴者から高い評価を得た。

佐伯ランチサービス

俳優業の傍ら、佐伯は給食専門業者「佐伯ランチサービス」を経営していた。俳優と実業家の二足のわらじを履きこなす、その多才ぶりは、周囲の人々を驚かせた。事業家の才能も持ち合わせていた佐伯は、多忙な俳優生活の中でも、経営者としての責任を果たし続けた。

代表的な出演作品

佐伯徹の出演作品は多岐にわたるが、特に以下の作品は、彼のキャリアにおける重要な作品と言えるだろう。

映画
快傑ハヤブサ（1949年）
深夜の非常線（1951年）
柔道一代（1963年）
浅草の侠客（1963年）
罠にはまった男（1972年）

テレビドラマ
特ダネを逃がすな!（1956年）
怪人二十面相（1958年）
特別機動捜査隊（1962年～1977年）
水戸黄門（1970年～1990年）
銭形平次（1975年～1978年）
土曜ワイド劇場（1979年～1992年）
特捜最前線（1980年～1987年）
西部警察（1979年～1984年）

舞台
高慢の鼻（1963年）
心中二枚絵草紙（1973年）
遊女梅川（1974年）

ラジオドラマ
* チャッカリ夫人とウッカリ夫人（1951年～1953年）

佐伯徹は、日本の映画・テレビドラマ史において、欠かせない存在である。その多彩な演技と、俳優業と実業家の両立という、類まれな人生は、後世に語り継がれるべきだろう。彼の功績は、多くの作品を通して、これからも人々に感動を与え続けるだろう。

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