佐伯真貴

佐伯真貴（さえき まさたか）は、1975年3月14日に熊本県で生まれた元社会人野球選手です。主に捕手としてプレーしました。

九州学院高等学校で野球に励んだ後、熊本工業大学に進学。大学野球部では、全国レベルの舞台である全日本大学野球選手権大会に出場した経験を持ちます。

大学卒業後、社会人野球チームのニコニコドーに入団しましたが、所属企業の経営状況悪化に伴い、1998年限りで野球部が廃部となります。これを受け、いすゞ自動車へと移籍しました。いすゞ自動車では、その優れた打撃力が評価され、捕手としての役割に加え、指名打者としても起用されました。当時チームには藤澤英雄選手や長谷高成泰選手らがおり、彼らと共にプレーしています。

特に印象的な活躍を見せたのが、2002年の第72回都市対抗野球大会神奈川予選です。日石三菱（現ENEOS）との第2代表決定戦では、劇的な打撃でチームを窮地から救いました。2点を追う9回裏には同点となる2ランホームランを放ち試合を振り出しに戻すと、さらに延長15回、1点を追う場面でサヨナラ逆転3ランホームランを放ち、チームを本大会出場へと導きました。この予選での活躍は大きな注目を集めました。

本大会でも5番打者としてチームの主軸を担い、その年の都市対抗野球大会において、いすゞ自動車の歴史上初の優勝に大きく貢献しました。この年は、いすゞ自動車が野球部を休部することが決まっていた最後のシーズンであり、有終の美を飾る形となりました。佐伯選手自身も、この2002年と翌2003年の都市対抗野球大会で優秀選手賞を受賞しています。

いすゞ自動車の休部に伴い、2003年からは富士重工業（現SUBARU）に移籍。富士重工業にはすでに松尾貢司選手という不動の正捕手がいたため、佐伯選手は主に内野手や指名打者として出場しました。それでも、林稔幸選手や神谷譲二選手といった強打者たちとともに、チームの強力打線の中核を担う存在として活躍を続けました。また、2006年および2007年シーズンにはチームの主将を務め、リーダーとしてもチームを牽引。2006年の第33回社会人野球日本選手権大会では、チームを全国優勝へと導く栄誉に浴しました。

2007年シーズン終了後、家庭の事情から現役を引退し、富士重工業も退社して故郷の熊本へ戻る意向を固めていました。しかし、その状況を知った熊本ゴールデンラークス（現鮮ど市場ゴールデンラークス）の田中敏弘監督から熱心な誘いを受けます。田中監督の懇願に応じ、佐伯選手は現役続行を決断。2008年シーズンから熊本ゴールデンラークスに加入し、選手兼任コーチとして2シーズンにわたりプレーしました。

そして、2009年シーズンをもって正式に現役を引退しました。現在は、熊本ゴールデンラークスの運営母体である鮮ど市場株式会社にて、社業に従事しています。選手として社会人野球の複数の強豪チームで活躍し、特にいすゞ自動車での劇的な一打や、富士重工業での主将としての全国制覇など、多くの記憶に残るプレーを見せた選手でした。

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