佐原囃子

佐原囃子

佐原囃子（さわらばやし）は、千葉県香取市の佐原地域に伝わる祭囃子です。佐原の大祭では、山車の上で下座連（げざれん）と呼ばれる囃子手が演奏します。神田囃子、京都祇園囃子と並び、日本三大囃子の一つとして数えられています。

歴史

佐原囃子の起源は、約400年前の天正年間（1573～1592年）に遡ると言われています。当初は、田楽、散楽（猿楽）、神輿囃子などがそのルーツとされ、享保年間（1716～1736年）には江戸の文化の影響を受けながら発展しました。特に、文化文政期には、義太夫奏者の豊竹式太夫を迎え、約12～13年もの歳月をかけて現在の形が完成したとされています。能化塚には豊竹式太夫の墓があり、佐原と江戸文化の深いつながりを物語っています。また、大杉囃子が源流という説もあります。

佐原地方では、囃子のことを「下座」とも呼びます。

特徴

佐原囃子は、数十にも及ぶ多彩な曲目を持つことが特徴です。これらの曲は、大きく「役物」「段物」「端物」の3つに分類されます。

役物：山車の出発時や到着時など、儀式的な場面で演奏される楽曲です。
段物：祭りの主要な通りなどで演奏される、ゆったりとした旋律を持つ長編の楽曲です。
端物：山車の運行時に演奏される、民謡や流行歌を取り入れた抒情的な楽曲です。

役物と段物には、葛西囃子や能楽囃子、歌舞伎の下座音楽の影響が強く見られ、これらの音楽との関連性が指摘されています。

佐原囃子は、祭りの雰囲気を盛り上げるだけでなく、神聖な祭りを清める悪魔払いの意味も持っています。

佐原の大祭では、山車を運行する町内の依頼を受けた下座連が、山車の上で囃子を演奏します。下座連は、もともと佐原周辺の農村部の集落を単位として構成されていましたが、戦後、後継者不足などの問題から、佐原の市街地で新たに下座連が作られ、山車に乗るようになりました。

佐原囃子の下座連は、香取市を中心に、潮来市、鹿嶋市、成田市、稲敷市など、千葉県北東部から茨城県南東部にかけての地域に分布しています。

楽器

佐原囃子では、以下の楽器が使用されます。

笛（篠笛）：5～8人
大皮（大鼓）：1人
鼓（小鼓）：3～5人
大太鼓：1人
ツケ（締太鼓）：1人
鉦（摺り鉦）：1人

また、演奏中の掛け声も、曲をまとめる上で重要な役割を果たします。

文化財としての価値

佐原囃子は、「佐原の山車行事」の一部として、2004年2月16日に国の重要無形民俗文化財に指定されました。さらに、2017年にはユネスコ無形文化遺産にも登録され、国内外から注目を集めています。佐原囃子の登録は、地域文化の継承という観点からも非常に重要な意義を持ち、海外からの観光客増加も期待されています。

関連事項

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成田祇園祭

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