佐竹一彦

佐竹一彦（さたけ かずひこ）は、1949年に栃木県で生まれ、本名を松本豊（まつもと ゆたか）といいます。明治大学法学部を卒業後、警察官の道へ進み、警視庁に勤務しました。機動隊や武蔵野警察署で要職を歴任し、警部補まで昇進しましたが、30代半ばに警察を退職しました。その後、作家としてのキャリアをスタートさせます。

1990年、短編小説「わが羊に草を与えよ」で第29回オール讀物推理小説新人賞を受賞し、ミステリー作家としてデビューしました。彼の作品は、警察官としての実体験に基づいたリアリティ溢れる描写が特徴です。捜査の過程や警察組織の内部事情を、他の作家ではなかなか描けないほど詳細かつ生々しく表現しています。

佐竹一彦の作品は、警察小説というジャンルに属していますが、その中でも特に、警察官の日常や苦悩、葛藤を深く掘り下げた作品が多いです。彼の著作は、警察内部の複雑な人間関係や、捜査の裏側を垣間見ることができるため、警察ミステリーファンから高い評価を受けています。また、その作品の多くが映像化されており、テレビドラマとしても人気を博しています。

代表作としては、『ショカツ Real police story』や『駐在巡査』などが挙げられます。これらの作品は、連続テレビドラマ化され、多くの視聴者を魅了しました。また、『よそ者』もテレビドラマの原作として使用されました。佐竹一彦の作品は、そのリアリティと緻密な構成から、一度読み始めると目が離せなくなる魅力を持っています。

しかし、作家としての活動期間は短く、2003年10月27日に急性心筋梗塞により54歳で急逝しました。そのため、作品数はそれほど多くありませんが、その一つ一つが、彼の警察官としての経験と作家としての才能が凝縮された作品となっています。彼の作品は、警察小説の新たな境地を開いたと言えるでしょう。

以下に、主な著作と映像化作品をまとめました。

著作リスト

単行本

凶刀「村正」殺人事件（1993年1月 光文社カッパ・ノベルス）
【改題】新任警部補（2000年2月 角川文庫）
刑事（デカ）部屋（1995年8月 角川書店 / 1998年9月 角川文庫）
よそ者（1996年8月 角川書店 / 2000年10月 角川文庫）
警視庁公安部 潜入捜査（1997年11月 角川書店）
【改題】警視庁公安部（2001年5月 角川文庫）
ショカツ Real police story（2000年4月 角川書店 / 2002年1月 角川文庫）
挙動不審者（2001年1月 角川書店 / 2004年5月 角川文庫）
駐在巡査 警察ミステリー（2003年9月 角川書店）
【改題】駐在巡査（2006年8月 角川文庫）

アンソロジー
逆転の瞬間―「オール読物」推理小説新人賞傑作選〈3〉（1998年6月 文春文庫）「わが羊に草を与えよ」

映像化作品

テレビドラマ

ショカツ（2000年4月11日 - 6月27日、全12話、関西テレビ系、主演：松岡昌宏、田中美佐子）
日丸教授の事件ノート（2003年9月14日 - 2014年7月9日、全2作、テレビ東京系「水曜ミステリー9」枠、主演：小林稔侍、原作：『よそ者』）
猪熊夫婦の駐在日誌（2004年4月18日 - 2007年11月28日【全4作中3作が佐竹一彦原作】、テレビ東京系「女と愛とミステリー」枠、主演：研ナオコ、原作：『駐在巡査』）

佐竹一彦の作品は、警察小説ファンだけでなく、リアリティのあるドラマを求める読者にもおすすめです。彼の作品を通して、警察官の仕事の厳しさや、人間の内面の葛藤を感じてみてください。

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