佐竹作太郎

佐竹 作太郎の生涯と業績

佐竹作太郎（さたけ さくたろう、1845年4月21日 - 1915年8月16日）は、京都府生まれの山梨県出身の実業家であり、衆議院議員としても活躍した人物です。彼の人生は、幕末から明治の変革期における日本の金融業界と政治活動に深く関与していました。

初期の生い立ち

佐竹は、山城国愛宕郡小出石村（現在の京都府左京区）で父宇右衛門の元に生まれました。幼少期、佐竹の家に勤皇の士である藤村紫朗が匿われていたことが、彼と山梨県との結びつきの始まりでした。幕府からの襲撃を逃れた藤村は、佐竹家に数ヶ月間身を寄せ、治療を受けていました。この経験が、後に彼の人生に大きな影響を与えることとなります。

山梨県との結びつき

明治維新後、藤村が新政府に仕官した後、佐竹は彼の従者として山梨県に移住しました。彼は藤村の執事業務を行いながら、金融業界に足を踏み入れることになります。明治6年には、山梨県の為替方として金融の実務を学ぶため、島田組に参加しました。金融業の経験を積んだ佐竹は、明治7年に設立された銀行類似会社「興益社」の支配人に就任し、会社の拡大に尽力しました。彼は初代社長栗原信近に指導を受けながら、明治9年には第一国立銀行での簿記伝習に出向しています。

銀行業界への貢献

明治10年に甲府で第十国立銀行が設立されると、佐竹は支配人に任命され、その後も明治14年に取締役兼支配人、そして明治15年からは第十国立銀行の第2代頭取を務めました。彼は33年間にわたり、この職を全うし、その間に銀行業界の発展に寄与しました。また、佐竹は山梨県の地方政治にも関与し、明治21年には県会議員、明治22年には甲府市会議員としても活動しました。さらに、明治35年から大正元年までの間、衆議院議員としても活動し、政治と実業の両方で影響力を持ちました。

実業家としての活動

佐竹は金融業だけでなく、他の実業にも深く関与しました。東京電燈の社長やカブトビール、大阪高野鉄道の取締役、さらに東武鉄道や富士身延鉄道の監査役を務めるなど、幅広い業務に携わりました。これにより、彼は地域経済の発展に寄与し、多くの企業で重要な役割を果たしました。

逝去とその後

1915年、佐竹は逝去し、彼の功績を称えるために1924年には甲府市の若尾公園に銅像が建立されました。しかし、戦時中の金属供出の影響を受け、銅像は献納され、戦後には公園の敷地も変わってしまったことで、銅像の台座も失われてしまいました。

親族の関係

佐竹の人生には、彼の家族も重要な役割を果たしました。二男の佐竹次郎は富国生命保険社長、昭和電工社長を務め、また、娘婿の中村藤一は日本製粉の社長として活動しました。これらの親族もまた、佐竹家の実業界における影響力を広げる要因となりました。

佐竹作太郎は、明治から大正の日本において、金融業と政治に多大な貢献をした英雄的存在であり、その足跡は今なお地域や業界に根付いています。

もう一度検索