佐竹義宣 (伊予守)

佐竹義宣（さたけよしのぶ）は、南北朝時代に活躍した武将であり、常陸国（現在の茨城県北部）を拠点とした佐竹氏の第10代当主です。初めは義香（よしか）と名乗っていましたが、後に義宣と改名しました。

官位としては、左近将監（さこんのしょうげん）、左馬助（さまのすけ）、伊予守（いよのかみ）を歴任しており、武将としての活動だけでなく、朝廷との関係も持っていたことが伺えます。

義宣の父は佐竹義篤（さたけよしあつ）であり、母は小田知貞（おだともさだ）の娘です。兄弟には、母が異なる小場義躬（こばよしみ）、石塚宗義（いしづかむねよし）、大山義孝（おおやまよしたか）、藤井義貫（ふじいよしつら）がいます。また、息子には佐竹義盛（さたけよしもり）と佐竹義有（さたけよしあり）がいます。

義宣の生涯において特筆すべき出来事の一つに、母方の実家である小田氏が小山若犬丸（おやまわかいぬまる）を匿ったことが原因で、鎌倉公方足利氏満（あしかがうじみつ）による追討を受けた事件があります。小田氏と縁戚関係にあった佐竹氏もこの影響を受け、警戒されました。しかし、義宣自身は直接的な戦闘には参加せず、家臣である小野崎通郷（おのざきみちさと）と江戸通高（えどみちたか）を派遣するに留まりました。

この戦いにおいて、江戸通高は難台城（なんだいじょう）の戦いで奮戦したものの、討ち死にしてしまいます。この事件は、佐竹氏が鎌倉公方との関係において、複雑な立場に置かれていたことを示しています。義宣は、この事件を通じて、一族の存続と領地の維持に苦心したと考えられます。

佐竹義宣の事績については、土居輝雄氏の著書『佐竹史探訪』（秋田魁新報社、1997年）に詳しく記されています。この書籍は、佐竹氏の歴史を研究する上で重要な資料となっています。

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