足利氏満

足利氏満：鎌倉公方としての生涯と事績

足利氏満（あしかが うじみつ）は、南北朝時代から室町時代にかけての武将で、第二代鎌倉公方として知られています。1367年から1398年まで、30年以上にわたり鎌倉府を統治しました。父は初代鎌倉公方の足利基氏、母は畠山家国の娘です。

幼少での公方就任と関東の動乱

1367年、父・基氏の死を受けて、幼くして鎌倉公方となりました。当初は佐々木道誉が後見役を務めました。1368年には武蔵平一揆の乱が勃発しましたが、10歳という若さで自ら軍を率いて出陣し、上杉憲顕らの協力を得て鎮圧に成功しました。その後、上杉能憲、朝房、憲春らが関東管領として補佐し、宇都宮氏綱などの関東諸勢力を屈服させ、支配権を確立しました。

室町幕府との対立

1379年、室町幕府内部で康暦の政変が起こると、氏満は将軍・足利義満に対して挙兵を計画しますが、関東管領・上杉憲春に諫められ断念しました。しかし、この事件がきっかけで幕府との関係が悪化し、義満は氏満への圧力を強めていきます。義満は氏満の教育係であった義堂周信を強引に招請し、新たな関東管領として上杉憲方を送り込みました。

関東における勢力拡大

その後、氏満は親幕府勢力や南朝方の武家を攻撃し、自己の権力拡大に努めました。新田氏、小山氏、小田氏、田村庄司氏などを次々と討伐し、特に小山氏の乱では、北関東の名門であった小山氏を徹底的に滅ぼしました。これにより、上杉氏や関東の有力武家に対する牽制としました。

奥州の統治と対立の深化

1392年、氏満は足利義満から陸奥・出羽の統治も任されました。これは、奥州管領が伊達氏などの有力武家を十分に統率できなかったことや、明徳の乱後の鎌倉府の離反を阻止する意図があったとされています。しかし、この措置によって幕府との対立が解消されることはなく、その後の子・満兼、孫・持氏の代へと受け継がれ、鎌倉府と室町幕府の本格的な抗争へと繋がっていきました。

晩年と死

1398年、氏満は40歳で病没しました。早世ではありましたが、31年もの長きにわたり鎌倉公方を務め、歴代公方の中で最も長い在職期間を誇ります。

官歴

1367年：鎌倉公方就任
1369年：元服し、氏満と名乗る
1372年：従五位下、左馬頭に任官
1380年：従四位下、左兵衛督に転任
1391年：陸奥・出羽両国公方兼務
1392年：従三位に昇叙、左兵衛督如元

寺院建立

海蔵寺：神奈川県鎌倉市に所在。氏満の命により上杉氏定が心昭空外を招いて再建。
東際寺：神奈川県小田原市に所在。建長寺九十二世慶堂資善大和尚を開山とする。

偏諱を受けた人物

岩松満国
上杉氏定（扇谷上杉氏）
宇都宮満綱
小栗満弘（重弘）：常陸小栗氏。
小栗満重：満弘の弟。後に持氏と対立。
小山満泰？：小山氏の乱後、氏満の命で小山氏を継いだ結城泰朝の子とされる。
大掾満幹
伊達氏宗
千葉満胤
宍戸満朝
茂木満知（茂木氏）
結城満朝（白河[[結城氏]]）
* 結城満広（下総結城氏）

まとめ

足利氏満は、幼少から鎌倉公方として関東の支配を確立し、室町幕府との対立を深めながらも、その勢力を拡大しました。彼の時代は、後の鎌倉府の動乱へと繋がる重要な時期であり、その生涯は、南北朝から室町時代への変遷期における武将の姿を映し出しています。

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