佐竹義里

佐竹義里（さたけ よしさと）

概要

佐竹義里は、戦国時代の武将であり、常陸国の大名である佐竹氏の第15代当主、佐竹義舜の四男として生まれました。佐竹氏一門の南家（佐竹南家）の初代当主として、その名を歴史に刻んでいます。

生涯

生誕と初期の動向

佐竹義里は、宇留野本「佐竹系図」によれば、永正12年（1515年）の亥年生まれとされています。幼名は三郎、初名は義隣（よしさと）と伝えられています。当時の佐竹家は、北殿家や東殿家といった分家が相次いで当主を失うなど、不安定な状況にありました。この状況を打開するために、佐竹宗家を支える新たな家系として、義里の南殿家が創設されたと考えられています。

佐竹宗家を支える

父の死後、義里は兄である佐竹義篤を助け、その後は東殿家の佐竹義堅や北殿家の佐竹義廉らと協力し、若年の甥である佐竹義昭を補佐しました。義里は、佐竹家の居城である太田城の南に自身の居城を構えたことから「南殿」と称され、その一族は江戸時代を通じて佐竹本家の補佐役を務めることになります。

那須氏の内紛と隠居

義昭の没後、義里は義昭の息子である佐竹義重を補佐しました。永禄10年（1567年）には、義重の命により那須氏の内紛に介入し、佐竹軍の総大将として出陣しました。義里は大関高増を支援し、佐竹義重の弟である佐竹義尚（那須資綱）を擁立しようとしましたが、烏山近郊の大川井山で那須資胤に大敗を喫しました。この敗戦の責任を問われ、義里は隠居を余儀なくされました。

晩年と南家の継承

那須氏の内紛が終結すると、義尚の那須氏入りは立ち消えとなりました。義里は、自身の養子として義尚を迎え入れ、後継者としました。一部の系図では、義里に娘がおり、義尚が婿養子であった可能性も示唆されています。義里の実像については不明な点も多く、天文12年（1543年）に没したとする説もあります。その場合、南家は義里の死後に一時的に断絶し、義尚が再興したことになります。しかし、現存する古文書には、佐竹義昭から義里への命令文書が残されており、義里が実際に没したのは義昭が家督を継承した天文14年（1545年）から永禄年間にかけてであると推定されています。

佐竹南家

佐竹南家は、佐竹氏の一門として、佐竹宗家を支える重要な役割を果たしました。初代当主の佐竹義里の後は、養子の佐竹義尚が継ぎ、その後も代々佐竹氏の重臣として活躍しました。

まとめ

佐竹義里は、戦国時代の激動期に佐竹氏を支えた重要な武将であり、南家の初代当主として、その後の佐竹氏の発展に貢献しました。その生涯は、佐竹氏の歴史において重要な位置を占めています。

参考文献

* 今泉徹「戦国期佐竹南家の存在形態」（所収:佐藤博信 編『中世東国の政治構造 中世東国論:上』（岩田書院、2007年） ISBN 978-4-87294-472-3）

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