佐竹義舜

佐竹義舜：常陸佐竹氏中興の祖

佐竹義舜（さたけ よしきよ）は、室町時代後期から戦国時代にかけての武将で、常陸国（現在の茨城県）の戦国大名である佐竹氏の第15代当主です。父は第14代当主の佐竹義治。義舜は、100年近く続いた佐竹氏の内乱に終止符を打ち、古河公方家や白河結城氏の内紛に介入するなど、激動の時代を生き抜き、佐竹氏の勢力拡大に大きく貢献しました。そのため、佐竹氏中興の祖として知られています。

生涯

山入佐竹氏との戦い

義舜は、兄が庶子であったため嫡男となり、延徳2年（1490年）に家督を継ぎました。しかし、直後に佐竹氏の分家である山入佐竹家の佐竹義藤・佐竹氏義父子が反乱を起こし、居城の常陸太田城を襲撃されます。不意を突かれた義舜は城を捨て、母の実家である大山氏を頼って孫根城に逃れました。

明応元年（1492年）に義藤が病死すると、和睦の動きが起こりました。義舜の正室の実家である岩城氏の仲介により、山入家との交渉が重ねられます。しかし、山入家を継いだ氏義はあくまでも義舜との対立を続け、明応9年（1500年）には大山城にいた義舜を攻撃し、金砂山城へと追い込みました。

文亀2年（1502年）の金砂山城の戦いでは、義舜は氏義によって自害寸前まで追い詰められます。しかし、天候の悪化に助けられ、逆襲に転じました。その後、大門城に移り、岩城氏などの支援を得て形勢は逆転し、永正元年（1504年）には常陸太田城を奪還することに成功しました。氏義・義盛父子は捕らえられ殺害され、永正3年（1506年）までには反乱を起こした山入佐竹家一族は滅ぼされました。

勢力拡大と下野国進出

佐竹義舜は、山入佐竹氏との戦いの後、所領の一部を岩城氏に割譲せざるを得なくなりました。しかし、その後は永正の乱や白河結城氏の内紛に介入し、勢力を拡大します。また、家法を23ヶ条制定し、軍事力の強化を図りました。

永正10年（1513年）には、茂木持知に山内郷、小深郷（現在の栃木県茂木町）を与え、小田氏の庶流である茂木氏を佐竹家臣団に組み込み、下野国への進出に成功します。さらに、宇都宮氏に属する武茂氏や松野氏にも影響を与え、後の佐竹氏の勢力拡大の足掛かりを築きました。

宇都宮成綱との戦い

永正11年（1514年）、足利政氏の命により、岩城由隆とともに2万の軍勢で下野国に侵攻します。これは、宇都宮成綱による古河公方擁立を阻止するためだけでなく、佐竹氏と宇都宮氏の北関東の覇権を巡る戦いでもありました。那須口の戦いで宇都宮忠綱の軍勢を破りますが、竹林の戦いでは宇都宮成綱と結城政朝の軍勢に敗れ、兵を退きました。この敗戦後、しばらくの間は足利政氏との連絡が困難な状態に陥りました。

永正13年（1516年）、再び宇都宮氏を討つため、岩城由隆とともに大軍を率いて下野国に侵攻し、上那須庄浄法寺縄釣で合戦しますが、宇都宮成綱の調略により那須氏が寝返ったため、敗北を喫します。宇都宮成綱は義舜を追撃し、常陸国に侵攻しましたが、義舜は月居城でこれを振り切りました。しかし、この戦いで佐竹氏は大きな被害を受けました。

永正14年（1517年）3月13日、佐竹義舜は48歳で亡くなります。庶長子の今宮永義は今宮氏を継いだため、次男の佐竹義篤が家督を継ぎました。

系譜

父：佐竹義治
母：大山義長の娘
正室：喜山妙悦（岩城下総守常隆の娘）
次男：佐竹義篤
三男：宇留野義元
次女：松山廉長（江戸忠通の正室）
四男：佐竹義里（佐竹南家初代当主）
生母不明の子女
長女：松堂高光（岩城由隆の正室）
長男：今宮永義
五男：一渓（古内氏の祖）

まとめ

佐竹義舜は、激動の戦国時代を生き抜き、佐竹氏の勢力拡大に大きく貢献した人物です。内乱を鎮め、近隣諸国との戦いを経て領土を拡大し、佐竹氏の戦国大名化を推し進めました。その功績から、佐竹氏中興の祖と称えられています。

参考文献

堀田正敦 編「国立国会図書館デジタルコレクション 佐竹氏」『寛政重修諸家譜』。
* 七宮涬三『常陸・秋田佐竹一族　新装版』

もう一度検索