佐竹貞義

佐竹貞義（さたけ さだよし）

佐竹貞義は、鎌倉時代後期から南北朝時代にかけての武将で、佐竹氏の第8代当主です。

生涯

北条氏得宗家当主である北条貞時より偏諱を受け、貞義と名乗りました。具体的な元服の年は不明です。

1303年、多賀郡に興禅寺を建立しました。鎌倉時代末期の1331年（元弘元年、元徳3年）には、源頼朝による守護職創設以来、八田氏が独占してきた常陸国守護職に補任されました。このことは、佐竹氏の勢力が拡大し、常陸国における影響力を強めていたことを示しています。

鎌倉幕府の討幕運動が始まると、当初は幕府軍の一員として笠置山攻めに参加し、武功を挙げました。しかし、足利高氏（後の足利尊氏）の調略を受け、討幕軍に寝返りました。この決断は、その後の佐竹氏の命運を大きく左右することになります。

建武2年（1335年）11月、中先代の乱などにおける足利党としての軍功により、足利尊氏から常陸守護の地位を認められました。これにより、常陸守護職は佐竹氏の世襲となり、以後、佐竹氏は常陸国における支配を確固たるものとしました。

同年、尊氏追討の勅旨を受けた義良親王と陸奥守北畠顕家が軍勢を率いて勿来の関を南下するという情報を得た足利氏から、貞義をはじめとする与党は、その行軍を阻止するよう指令を受けました。このことは、佐竹氏が足利氏の重要な一員として、その勢力拡大に貢献していたことを示しています。

1352年9月10日、66歳で死去し、後を嫡男の義篤が継ぎました。

佐竹貞義は、激動の時代を生き抜き、佐竹氏の勢力拡大に大きく貢献した人物でした。その生涯は、鎌倉時代から南北朝時代への変遷を理解する上で、非常に重要な事例と言えるでしょう。

脚注

偏諱とは、主君や有力者の名前の一字を家臣に与えることです。
常陸国は、現在の茨城県にあたる地域です。
中先代の乱とは、北条時行が鎌倉幕府再興を目的として起こした反乱です。
勿来の関は、現在の福島県いわき市にあったとされる関所です。

参考文献

* 茨城新聞社編 『茨城県大百科事典』 茨城新聞社、1981年、459頁。「佐竹貞義」

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