佐藤快磨

佐藤快磨（さとうたくま）は、1989年6月11日に秋田県秋田市で生まれた日本の映画監督です。

幼少期から学生時代

秋田県立秋田南高等学校を卒業しています。幼少期から高校時代にかけてはサッカーに打ち込み、特に小中学校時代には秋田県選抜の一員としてイギリスへ交換留学する機会も得ました。しかし、この留学経験が転機となり、サッカーに対する情熱が以前ほどではなくなったと後に語っています。高校時代も競技を続けましたが、3年生の時に全国高等学校総合体育大会の県予選で敗退したことを機に、そのまま引退しました。

映画への道のり

高校卒業後、上京して大学に進学しましたが、「本当にやりたいこと」が見つからないまま学生生活を送っていました。将来への漠然とした不安を感じる中、就職活動を控えた大学4年生になり、「情熱を傾けられる何かを探そう」と決意します。当初は、好きだったナイキのテレビCM制作に関心を持ち、広告代理店や制作会社への道を考えましたが、入社が叶わなかったため、映画学校への入学を選びました。

映画製作の始まり

大学に在学しながら、1年制の映画学校であるニューシネマワークショップ（NCW）に入校し、映画製作に必要な知識と技術を学びました。2012年に同校の第9期クリエイターアドバンスコースを修了。卒業後は、是枝裕和監督が主宰する映像制作者集団「分福」に参加し、さらに経験を重ねました。

自主製作と評価

2014年から自主製作での映画製作を開始します。同年監督した短編映画『ガンバレとかうるせぇ』は、自身の高校時代のサッカー経験を基にし、故郷である秋田県で撮影されました。この作品は国内外で高く評価され、ぴあフィルムフェスティバル（PFF）では「映画ファン賞」と「観客賞」を、ヨコハマ・フットボール映画祭では最優秀作品賞を受賞するなど、若手監督としての頭角を現すきっかけとなりました。

商業映画デビューと近年の活動

2020年には、自身にとって初の商業長編監督作となる『泣く子はいねぇが』が製作・公開されました。秋田を舞台に、人間関係の機微を丁寧に描いたこの作品は、第30回日本映画批評家大賞において新人監督賞を受賞するなど、その確かな演出力が改めて評価されました。

近年は活動の幅を広げ、テレビドラマの演出も手掛けています。NHKで放送された『舞妓さんちのまかないさん』（2023年）では第8話と第9話の監督を、テレビ東京で放送された『離婚後夜』（2024年）では第1話、第2話、第9話、第10話の監督を務めました。また、2025年には新たなテレビドラマ『あの夜をすくいに』の放送も予定されています。

フィルモグラフィー（監督作品）

映画

舞い散る夜（2012年）
ぶらざぁ（2013年）
ガンバレとかうるせぇ（2014年）
壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ （2015年）
きっとゲリラ豪雨（2018年）
ハッピーハッピーサタデー（2018年）
歩けない僕らは（2019年）
泣く子はいねぇが（2019年）

テレビドラマ

舞妓さんちのまかないさん（2023年）- 8話、9話
離婚後夜（2024年）- 1話、2話、9話、10話
あの夜をすくいに（2025年）

主な受賞歴

2014年 - ぴあフィルムフェスティバルPFFアワード2014 映画ファン賞・観客賞（『ガンバレとかうるせぇ』）
2015年 - ヨコハマ・フットボール映画祭2015 最優秀作品賞 （『ガンバレとかうるせぇ』）
2019年 - SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019 国内コンペティション短編部門　観客賞（『歩けない僕らは』）
* 2021年 - 第30回日本映画批評家大賞 新人監督賞（『泣く子はいねぇが』）

自身の経験や地域性を作品に反映させつつ、登場人物の繊細な感情を描き出す手腕を持つ佐藤快磨監督は、今後の日本映画界、映像業界においてさらなる活躍が期待されています。

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