佐藤昌

佐藤 昌（さとう あきら、1903年10月2日 - 2003年7月19日）は、日本の近代造園史および都市計画史において重要な足跡を残した人物です。官庁技師として長年にわたり、日本国内と戦前の満洲において、多くの公園緑地計画や都市の総合的な計画設計に深く関与しました。

東京市京橋区築地の生まれ。1927年に東京帝国大学農学部農学科を卒業後、内務省復興局でキャリアをスタートさせました。その後、活動の場を満洲国に移し、ハルピン特別市都市計画局技佐、都市建設局土木科長、新京特別市工務処公園科長といった要職を歴任しました。この満洲時代には、ハルピンの都邑計画の一環として、都心付近の計画、王兆沌苗邑計画、八站公園、東公園墓地など、多岐にわたる都市基盤や緑地空間の設計・計画を主導しました。彼の満洲での経験は、後の造園・都市計画における思想や実践に大きな影響を与えたと考えられています。

第二次世界大戦終結後は日本に戻り、神奈川県土木部都市計画課長、建設省計画局施設課長を務め、戦後日本の復興期における都市計画や造園行政に貢献しました。官庁での実務経験を通じて培われた知識とリーダーシップは、その後の活動に生かされていきます。

官界を退いた後は、学術界や業界団体において中心的な役割を果たしました。東京農業大学で後進の指導にあたるとともに、国際造園協会（IFLA）副会長、日本造園学会会長、日本公園緑地協会会長、日本造園コンサルタント協会（現在のランドスケープコンサルタンツ協会）会長といった要職を歴任し、日本の造園分野の発展と普及に多大な貢献をしました。特にIFLA副会長としての活動は、日本の造園界を国際的な舞台に紹介する上で重要なものでした。また、1990年に大阪で開催された国際花と緑の博覧会では協会長を務め、その成功に尽力しました。

長年にわたる功績に対し、1974年には第3回日本公園緑地協会北村賞を受賞しています。

精力的な活動は著述活動にも及び、造園史研究における主要な著作を多く残しました。『欧米公園緑地発達史』や『日本公園緑地発達史（上下巻）』は、日本の造園史研究において基礎となる文献です。また、『造園修景大辞典』の編纂委員長を務めるなど、専門分野の知識体系化にも貢献しました。その他、『噴水史研究』や『佐藤昌が見た 世界ゴルフコース発達史』といったユニークな視点からの著作もあります。

造園・都市計画分野以外では、音楽評論家としても活動するなど、幅広い関心と才能を持つ人物でした。彼の生涯は、日本の近代化、特に都市空間と緑地の整備の歴史と密接に結びついています。100歳という長寿を全うするまで、その経験と知見は多方面に影響を与え続けました。

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