佐藤與三

佐藤與三：明治期の商工官僚、群馬県知事

佐藤與三（さとう よぞう）は、1843年（天保14年）に長門国阿武郡萩平安湖町（現在の山口県萩市）に生まれ、明治期に活躍した商工官僚です。彼は官選の群馬県知事としてもその名を知られています。

経歴

明治維新後、佐藤は明治5年（1872年）に工部省五等出仕に任官され、官僚としてのキャリアをスタートさせました。その後、鉄道助や燈台権守といった役職を歴任し、明治6年（1873年）には燈台頭に昇進するなど、着実に昇進を重ねました。

工部省では、工部大書記官として鉱山権頭、鉱山局長、内国勧業博覧会審査部長、工作局長、総務局鉱山課長、品川硝子製造所長、参事院員外議官補など、多岐にわたる要職を歴任しました。これらの役職を通じて、日本の鉱工業の発展に大きく貢献しました。

1884年7月30日、佐藤與三は群馬県令に就任し、地方行政の世界へ足を踏み入れました。1886年7月19日には、地方官官制の改正に伴い、群馬県知事に任命されました。しかし、知事としての道のりは決して平坦ではありませんでした。

明治21年（1888年）には、公娼の廃止問題に直面します。政府が公娼廃止を決定したものの、佐藤は同年5月に廃娼延期令を発布しました。この措置は世論の強い反発を招き、廃止期限を設けるなどの妥協を余儀なくされました。さらに、県会からは辞職を迫られる事態となり、議会を解散するという強硬手段に出ました。しかし、解散後の選挙結果は解散前とほぼ変わらず、1891年の臨時県会において、ついに知事辞職勧告が可決されました。その結果、同年4月9日に知事を非職となりました。

1893年2月21日、佐藤與三は依願免本官（諭旨退官）となり、官僚としてのキャリアに幕を下ろしました。

栄典

佐藤與三は、その功績により数々の栄典を授与されています。

1884年（明治17年）8月30日 - 正五位
1886年（明治19年）10月28日 - 従四位
1893年（明治26年）2月28日 - 正四位

勲章

1885年（明治18年）4月7日 - 勲四等旭日小綬章
1888年（明治21年）5月29日 - 勲三等旭日中綬章
1889年（明治22年）11月25日 - 大日本帝国憲法発布記念章

まとめ

佐藤與三は、明治期の日本において、商工官僚として、また地方官として重要な役割を果たしました。工部省での多岐にわたる職務を通じて日本の産業発展に貢献し、群馬県知事としては、困難な課題に直面しながらも県政を担いました。特に廃娼問題における対応は、彼の政治手腕と時代の制約を物語るものとして、歴史に刻まれています。

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