佐谷圭一

佐谷圭一とは

佐谷圭一（さや けいいち、1938年6月22日生まれ）は、日本の薬剤師であり、薬局の経営者としても活躍している人物です。彼は第22代日本薬剤師会会長として知られており、薬歴管理制度の普及に注力した第一人者として日本の薬局業界に大きな影響を与えてきました。

略歴

佐谷氏は、1938年に群馬県で生まれました。1961年に明治薬科大学を卒業後、薬局に勤務し、1963年には独立して「アスカ薬局」を開設します。1974年には日本薬剤師会の常務理事に就任し、1984年から1988年まで日本薬局協励会の副会長を歴任しました。1988年から1998年まで再び日本薬剤師会の常務理事を務め、1998年には第22代会長に就任し、2002年までその任を果たしました。

薬歴管理の導入

佐谷氏の業績の中でも特に評価されているのは、薬歴管理の導入と普及です。彼は薬局を開設した当初から薬歴カードの作成に取り組んでおり、OTC医薬品の購入客に対しても薬歴を付けることを始めました。当時は院外処方箋が一般的でなかったため、薬局での医薬品取り扱いが少なかったものの、将来的な医薬品取り扱いを見越しての対応でした。

日本薬剤師会の常務理事に就任した後、薬歴管理を保険の要件として定着させるための取り組みを始めました。当時、薬歴を導入している薬局が1割未満ではなかなか広まらないという問題がありましたが、佐谷氏は全国の薬剤師に向けて薬歴管理の重要性を広める活動を行い、努力の末に1980年代半ばには薬歴が全国に普及していきました。

その結果、1986年には調剤報酬改定の際に薬剤師の知的労働を評価する形で、薬剤服用歴管理指導料が導入されました。これは、薬剤師の業務が技能的・知的な労働であることが公に認められた重要なステップでした。

十文字革命

佐谷氏は、服薬指導をより効率的に行うための新しい手法として「十文字革命」を提唱しました。この手法は、特定の医薬品に関する禁忌や併用の情報を、漢字1文字やカナ、英字を用いて10文字以内で表現するというものです。このような簡潔な表示により、薬剤師は患者への服薬指導を行う際に役立てることができます。この考えは薬局チェーンにおいても採用され、広く実践されています。

著書

佐谷氏は、教育活動にも力を入れ、その成果を著書として発表しています。代表的な著書には、以下のものがあります。

• - 『かかりつけ薬局への道―薬歴管理と服薬管理』（薬事日報社）
• - 『若き薬剤師への道標』（薬事日報社）
• - 『十文字革命 電子薬歴への提言～佐谷圭一の「かかりつけ薬局」講座～』（薬事日報社）

最後に

佐谷圭一氏の業績は、日本の薬剤師会の歴史において重要な位置を占めており、彼の取り組みが薬局の業務改善や患者へのサービス向上に多大な影響を与えています。

もう一度検索