佐賀市立成章中学校

佐賀県佐賀市成章町に所在する佐賀市立成章中学校は、地域の教育を担う公立の中等教育機関です。

概要と歴史

本校の起源は、第二次世界大戦以前の高等小学校（国民学校高等科）および青年学校にまで遡ります。戦後、1947年（昭和22年）に施行された学制改革により、新たな教育制度のもと「佐賀市立第一中学校」として開校しました。現在の校名である「佐賀市立成章中学校」と改称されたのは、1951年（昭和26年）のことです。長きにわたる歴史の中で、2022年（令和4年）には創立75周年を迎えるなど、地域における伝統校としての地位を確立しています。

校名「成章」の由来と校訓

学校の名称である「成章（せいしょう）」は、中国の古典として知られる『論語（ろんご）』の一節、「斐然成章（ひぜんせいしょう）」から採られています。

「斐然成章」とは、「斐然（ひぜん）として章（あや）を成す」と読み、「きちんとした模様を持つ綿のように、美しい素質や才能が外面に豊かに現れ、整っている様子」を意味します。本校では、この『論語』の言葉を校訓として掲げ、生徒一人ひとりが内面の優れた素質を磨き、外面にも輝くような人格を形成することを教育目標としています。

校章と校歌

本校の校章は、旧校名である「第一中学校」時代の名残を留める特徴的なデザインです。中心に配置された「中」の文字を、旧校名の一部である「一」の横線が貫く形で表現されており、学校の歴史が刻まれています。

校歌は全3番構成で、それぞれの歌詞の中に学校名である「成章中学」という言葉が歌い込まれています。

教育・生徒生活の特色

佐賀県内の中学校の中でも、生徒の服装に関する指導方針において特徴が見られます。佐賀市立城南中学校や佐賀大学文化教育学部附属中学校と同様に、本校は昭和の時代から男子生徒の長髪（いわゆる丸刈りではない髪型）を伝統的に容認してきた数少ない学校の一つです。この点は、生徒の個性を尊重する校風を示すものとして挙げられます。

通学区域

本校の主な通学区域は、佐賀市立勧興小学校区と佐賀市立神野小学校区です。これらの区域に加え、佐賀市立循誘小学校区、赤松小学校区、兵庫小学校区、若楠小学校区、開成小学校区のそれぞれ一部についても、承認校として通学が認められています。

沿革

成章中学校の歴史は、明治時代初期の教育機関に始まります。

前身校の時代
1874年（明治7年）：現在の佐賀市呉服町に「啓蒙小学校」が創設されました。
1879年（明治12年）：「明倫小学校」と改称し、教育令のもとで初等科・中等科・高等科の課程を設置しました。
1891年（明治24年）：明倫小学校の尋常科を廃止し、高等科中心の「成章高等小学校」が設立されました。同時に、近隣小学校の高等科を統合しています。
1899年（明治32年）：勧興尋常高等小学校の高等科を統合し、「佐賀高等小学校」に改称。佐賀城北堀端（現在の松原町）に校地を移転し、男女別学制を導入、女子部を設置しました。
1908年（明治41年）の改正小学校令施行により、尋常科6年、高等科2～3年制に移行しました。
1909年（明治42年）：佐賀高等女子小学校が廃止され、再び佐賀高等小学校に統合されました。
大正から昭和初期にかけては、佐賀市内の商業補習学校を統合した「佐賀商業補習学校」や、これが改称・統合された「佐賀市立実業青年学校」などを本校に併置する形で運営されました。
1932年（昭和7年）：佐賀市庁舎の火災の類焼により、校舎の一部を焼失しました。
1935年（昭和10年）：移転改築が進められ、現在の佐賀市成章町（当時の神野町）に新校舎が完成し、移転を完了しました。同年、神野尋常高等小学校の高等科を統合しています。
1937年（昭和12年）：かつての校地跡に「成章校跡碑」が建立され、学校の歴史を伝えています。
1941年（昭和16年）：国民学校令に基づき、高等科のみの「佐賀国民学校」と改称されました。
新制中学校発足後
1947年（昭和22年）4月1日：学制改革により、高等小学校は新制中学校へ移行。本校は「佐賀市立第一中学校」として正式に発足しました。
1948年（昭和23年）：併置されていた佐賀市立実業青年学校が廃止されました。
1951年（昭和26年）4月1日：現在の校名である「佐賀市立成章中学校」に改称されました。
1953年（昭和28年）：佐賀市立昭栄中学校が新設・分離され、それに伴う校区の変更が行われました。
近年では、校舎の建て替えが進み、2011年（平成23年）12月に新校舎が完成し移転。2012年（平成24年）1月からは新しい校舎での教育活動が開始されています。

部活動

生徒たちは様々な部活動に参加し、学業以外でも活発な学校生活を送っています。

運動部: バスケットボール部（男女）、テニス部（男女）、バレー部（女子）、軟式野球部、サッカー部、陸上部、卓球部、新体操部
文化部: 吹奏楽部、合唱部、美術部、コンピューター部（現在休部中）

著名な関係者

本校からは、多岐にわたる分野で活躍する卒業生を輩出しています。主な方々としては、イラストレーターの326氏（1993年卒業）、バドミントン選手の武下利一氏、タレントとして活躍する優木まおみ氏（1995年卒業）などが挙げられます。

交通アクセスと周辺環境

最寄りの駅: JR九州長崎本線「佐賀駅」から南東へ車で約2分、または徒歩で約20分の距離です。
最寄りのバス停: 佐賀市営バスの「成章中学校西」停留所が利用できます。
* 主な幹線道路: 国道264号線が近隣を通り、「天神郵便局西」交差点が目印となります。

学校の周辺環境は公共施設や商業施設が集積しており、利便性が高い地域です。東側には佐賀市立勧興小学校が隣接しており、南側には佐賀県庁や佐賀玉屋があります。北東部にはどんどんどんの森や佐賀市立図書館が、北部には佐賀駅があります。また、佐賀県社会福祉協議会、佐賀天神郵便局、成章保育所なども周辺に位置しています。

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