佐賀果試34号

佐賀果試34号：糖度が高く、酸味が少ない新しい柑橘

佐賀県で開発された「佐賀果試34号」は、ミカン科ミカン属の柑橘類の一種であるタンゴールです。既存の柑橘類、特に人気の高い「不知火」の栽培において課題となっていた樹勢の衰え、酸味の減少不良、果実の小型化といった問題点を克服するために育成されました。

開発の背景

2000年頃、佐賀県では主力品種である「不知火」の栽培において、樹勢の衰えや、果実の酸味が十分に減少しない、果実が小型化するといった問題が深刻化していました。より安定した生産と高品質な果実の供給を目的として、佐賀県果樹試験場では新たな品種の開発が急務となっていました。

そこで、強健な樹勢と早期減酸、大粒の果実といった特性を持つ新品種の育成を目指し、交配による品種改良が行われました。「不知火」を母親とし、「紅甘夏」の花粉を受粉させることで得られた種子の中から、選抜と育成を経て、2003年11月、目標とする特性を備えた「佐賀果試34号」が品種登録されました。

果実の特性

「佐賀果試34号」の果実は洋梨型をしており、平均重量は約320グラムと「不知火」よりも大きいです。果皮の色は橙色で、剥きにくいという特徴があります。最も大きな特徴は、酸味が「不知火」よりも少なく、糖度が高い点です。1月中旬には糖度（Brix）が12.5度以上に達し、安定して高い糖度を維持します。酸含量は1月中下旬には1％を下回り、糖度とのバランスがとれた、優れた食味を実現しています。また、「不知火」と比較して成熟が早いことも特徴です。

栽培特性

「佐賀果試34号」は、開発の目標として掲げられていた通り、樹勢が強く、安定した栽培が可能です。減酸も早く、収穫時期の調整もしやすいことから、生産者の負担を軽減し、効率的な生産に貢献します。

まとめ

「佐賀果試34号」は、既存品種の課題を克服し、優れた品質と栽培特性を両立させた新しい柑橘類です。糖度が高く、酸味が少なく、食べやすいことから、消費者の高い評価が期待されます。また、生産者にとっても栽培が容易で効率的な品種であるため、今後の柑橘栽培において重要な役割を果たす品種となる可能性を秘めています。今後の普及と更なる研究開発によって、佐賀県の柑橘産業の発展に貢献することが期待されます。

もう一度検索