佐賀県立佐賀農業高等学校

佐賀県立佐賀農業高等学校は、佐賀県杵島郡白石町大字福田に校舎を構える県立の農業専門高等学校です。「佐農」（さのう）の愛称で地域に親しまれ、120年以上の長きにわたり、佐賀県の農業教育を牽引してきました。

沿革

本校の歴史は、明治28年（1895年）4月23日に佐賀郡神野村（現在の佐賀市の一部）で産声を上げた佐賀県簡易農学校に遡ります。当時の社会情勢を反映し、農業技術の普及と担い手育成の必要性に応える形で設立されました。

その後、学校は発展を続け、明治34年（1901年）6月1日には佐賀県立農学校と名称を改め、より専門的な教育機関としての体制を強化しました。そして、大正10年（1921年）11月30日には、現在の所在地である杵島郡福治村大字福田（現・白石町）へと校舎を移転し、新たな環境で教育活動を展開するようになりました。

昭和に入ると、教育内容の多様化が進みます。昭和19年（1944年）4月6日には、農業生産基盤を支える重要な分野である農業土木に関する専門学科が新設されました。

戦後の教育制度改革が進められた昭和23年（1948年）4月1日には、現在の校名である佐賀県立佐賀農業高等学校へと名称が変更されました。この変革期には、畜産に関する専門的な学びを深める畜産科と、勤労学生などを受け入れる定時制の農業科が新たに設けられ、教育内容の拡充が図られました。翌昭和24年（1949年）5月23日には、昭和天皇による戦後巡幸において、本校が訪問されるという栄誉に浴しています。

昭和25年（1950年）4月1日からは男女共学が導入され、より多くの生徒に学びの機会が提供されることになりました。また、農村家庭の生活改善に貢献することを目指した農村家庭科（後に生活科と改称）が新設され、教育分野がさらに広がりました。

その後の時代の変化や社会のニーズに応じ、学科の改編や新設が繰り返されます。昭和52年（1977年）4月1日には園芸科の設置が認可され、多様な植物に関する専門的な学びが始まりました。平成元年（1988年）4月1日には、総合農業科、食品化学科、生活文化科が新たに設置され、教育の幅が大きく広がりました。

21世紀に入ると、教育内容のさらなる高度化・専門化が進みます。平成12年（2000年）4月1日には、総合農業科と園芸科が統合・再編され、生産科学科が誕生しました。また、食品化学科は内容が改編されるとともに食品産業科と名称を変え、生活文化科も内容が改編されました。平成23年（2011年）4月1日には、時代の流れに合わせて生活文化科の募集が停止され、生産科学科、食品産業科、農業土木科の各学科は、現代的な教育内容を反映した農業科学科、食品科学科、環境工学科へと再編されました。これにより、現在の3学科体制が確立されました。

近年では、国際的な視野を持つ人材育成にも注力しており、平成28年度から令和2年度にかけては[スーパーグローバルハイスクール]の指定を受け、グローバルな課題解決に取り組む教育を展開しました。

設置学科

現在、本校には以下の3つの専門学科が設置されており、農業や食、環境といった分野で深く専門的な知識と技術を習得することができます。いずれの学科も、生徒は2年次より学科内でさらに専門性の高いコースに分かれて学習を進めます。

農業科学科（A科）: 農業生産の現場における技術の向上や、生物資源の多角的な活用法について学びます。生産技術コースと生物活用コースが設けられています。
食品科学科（F科）: 食品の製造プロセスに関する技術や知識、さらには食品の流通・販売に関する専門知識を習得します。食品製造コースと食品流通コースが設置されています。
* 環境工学科（E科）: 農業生産を支える基盤整備や、地域環境の保全・創造に関する工学的知識・技術を学びます。環境デザインコースと農業土木コースがあります。

佐賀県立佐賀農業高等学校は、長い歴史の中で常に時代の変化に対応しながら、地域農業や関連産業を支える有為な人材を育成し続けています。専門的な学びを通じて、未来の地域社会に貢献できる人材の育成を目指しています。

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