佐野武治

佐野武治

佐野武治（さの たけじ、1930年5月11日 - 2011年3月4日）は、昭和から平成にかけて活躍した日本の照明技師。その卓越した技術と才能から「照明の神様」とも称され、映画界に多大な貢献をしました。倉敷芸術科学大学メディア映像学科の非常勤講師や、日本映画テレビ照明協会会長も務め、後進の育成にも力を注ぎました。

生涯

1930年、京都府京都市に生まれた佐野は、1948年に京都府立洛北高等学校を卒業後、松竹京都撮影所に入社。ここで照明の世界に足を踏み入れました。1957年には同撮影所の契約技師となり、その才能を開花させていきます。

1964年、松竹京都撮影所の閉鎖を機にフリーランスの照明技師として独立。以降、約5,000本もの映画作品で照明を手がけるという驚異的な実績を築き上げました。晩年まで現役の照明技師として活躍し、その照明歴は実に60年に及びます。

佐野は、照明の役割を「カメラマンがスケッチをした後に我々が色をつけていく」と表現していました。この言葉からも、彼が照明にどれほどの情熱とこだわりを持っていたかが窺えます。サントリートリスのCM『雨と子犬』の照明を手がけたことでも知られています。

2008年からは倉敷芸術科学大学メディア映像学科の非常勤講師に就任し、次世代の育成にも貢献しました。愛煙家としても知られ、タバコの銘柄はショートピースを愛用していました。

2011年3月4日、肝臓がんのため京都市内の病院で逝去。享年80歳。

主な作品

佐野武治は数多くの映画作品で照明を担当しました。以下に代表的な作品を挙げます。

1957年：喰いだおれ一代
1960年：忍術武者修行
1963年：丹下左膳
1968年：喜劇 夫婦善哉
1970年：無常
1971年：曼陀羅
1977年：歌麿 夢と知りせば
1980年：影武者
1981年：悪霊島
1985年：乱
1986年：近松門左衛門 鑓の権三
1990年：夢
1993年：まあだだよ
2000年：雨あがる

黒澤明監督作品をはじめ、数々の名作でその才能を発揮し、映画史に名を刻みました。

受賞歴

佐野武治は、その功績が認められ、数々の賞を受賞しています。

1985年：日本アカデミー賞 最優秀照明賞（『瀬戸内少年野球団』）
1986年：日本アカデミー賞 照明賞（『鑓の権三』）
1991年：日本アカデミー賞 照明賞（『夢』）
1992年：日本アカデミー賞 最優秀照明賞（『八月の狂詩曲』）
1994年：日本アカデミー賞 最優秀照明賞（『虹の橋』、『まあだだよ』）
2001年：日本アカデミー賞 最優秀照明賞（『雨あがる』）

特に、日本アカデミー賞では、最優秀照明賞を複数回受賞しており、その実力が広く認められていたことがわかります。

佐野武治は、その長きにわたるキャリアの中で、日本の映画照明界に多大な影響を与えました。彼の作品は、これからも多くの人々に感動を与え続けるでしょう。

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