余田臥龍梅

余田臥龍梅（よたがりゅうばい）

余田臥龍梅（よたがりゅうばい）は、山口県柳井市余田に位置する見事なウメの巨木です。主に白い一重の小輪花を咲かせるこの木は、野生種として知られています。この木の主幹は室町時代に遡るものとされていますが、第二次世界大戦後の台風によって倒れてしまいました。しかし、倒れた主幹から枝が地面に広がり、独立した株へと成長する様子は、まるで梅林のような美しさを醸し出しています。

この巨木は1933年に国の天然記念物に指定され、その後も地域住民による保護が続けられています。周囲には約70本の子孫のウメの木が植えられ、地域の人々の努力によって守られています。

起源と歴史

余田地区は柳井市の西側に位置し、赤子山の北側斜面に余田臥龍梅は生育しています。現在は主幹が失われており、約350平方メートルの範囲にわたって枝が独立した株として広がっています。花の開花期は2月中旬で、白い小花を咲かせ、紅色のガクが特徴的です。

主幹は室町時代から続いていたものですが、戦後に台風で倒れたため、現在の姿は四方に伸びる枝から成っています。1981年に発行された『天然記念物事典』によると、枝の伸びは東方で約8.5メートル、西で6.3メートル、南で7.8メートル、北で11メートルに及び、支幹の周囲は幅3メートルを超える場所もあります。

かつてこの地域は梅林として知られており、明治維新以前に一帯が畑地として開発されました。しかし、余田臥龍梅だけが伐採を免れ、ひときわ際立つ存在となりました。その後、天然記念物の指定に際し、役人が木の形状を見て「臥龍梅」と名付けたことから、この名称が付けられました。

指定日は1933年4月13日で、その際の説明文には「根元から四本の支幹を持つ老樹」として記され、天然記念物にふさわしい巨樹として評価されていました。戦前は観梅が行われ、多くの人々が訪れていましたが、その賑わいは戦後に衰退しました。

保護活動の進展

余田臥龍梅の主幹が倒れた後、地域の教育委員会は天然記念物の解除を申請しましたが、逆に「支幹がある限り、そのままにしておくのが良い」と助言されました。これは、支幹や枝が将来的に本来の姿を取り戻す可能性に期待を寄せたためです。

1973年頃、地域の職員によって余田臥龍梅の保護が呼びかけられ、「臥龍会」が設立されました。ここから地域住民の協力が広がり、ほどなくして「余田臥龍梅保存会」が誕生しました。彼らは梅見の季節前に周囲の手入れや清掃作業を行い、木を支えるための活動を続けています。

この保存活動は地域の婦人会や老人クラブ、さらには小学生や中学生にも広がり、皆で協力しながら子孫のウメの木を約70本、3000平方メートルの範囲にわたって植栽しています。

アクセスと所在地

余田臥龍梅は、山口県柳井市余田2450に位置しています。アクセスは、JR西日本の山陽本線柳井駅から車で約10分、また山陽自動車道の玖珂ICからは約20分、熊毛ICからも約25分と便利です。

余田臥龍梅は、その魅力的な姿と地域の努力によって育まれてきた歴史を感じさせる木です。訪れる人々は、その壮大さと自然の恵みに触れ、地域の文化や歴史にも思いを馳せることができるでしょう。

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