作業療法

作業療法とは

作業療法（Occupational therapy）は、人が健康で幸福な生活を送るために、様々な「作業」に焦点を当てて行われる治療、指導、援助です。医療、保健、福祉、教育、職業など、幅広い領域で実践されています。ここで言う「作業」とは、対象者にとって目的や価値を持つ生活行為全般を指し、仕事、遊び、日常生活、休息などが含まれます。

作業療法の定義

理学療法士及び作業療法士法では、身体または精神に障害を持つ人に対し、応用的な動作能力や社会適応能力の回復を図るため、手芸、工作、芸術、遊び、スポーツ、日常生活動作など、様々な「行為（作業）」を行わせることを作業療法の定義としています。日本作業療法士協会では、作業療法を「人々の健康と幸福を促進するために、作業に焦点を当てた治療、指導、援助」と定義しています。

作業療法の目的

作業療法の主な目的は、人々が日常生活に必要な作業を円滑に行えるようにすることです。具体的には、仕事、遊び、日課、休息といった活動を通じて、心身機能の改善、維持、生活の質の向上を目指します。作業療法士は、クライエントの能力を最大限に引き出し、作業しやすい環境を整えることで、この目標達成をサポートします。

作業療法は、作業ができるようになることで、人々の健康状態と幸福感を高めることを目指します。

作業療法の特徴

作業療法は、デイケアと比較して、集団生活が苦手な障害を持つ人に利用が推奨される傾向があります。また、入院中の娯楽として作業療法が機能することもあります。実際には、生活リズムを整えることを主眼として、作業療法室で漫画や映画鑑賞、インターネットなどを利用してゆっくり過ごす患者も少なくありません。

作業療法の基礎

作業療法の基礎となる学問には、作業科学、作業学があります。また、作業行動理論、人間作業モデル、カナダ作業遂行モデル、人間-作業-環境モデル、山根新モデル（IMMD）、感覚統合理論など、様々な理論が基盤となっています。

作業療法の効果判定

作業療法の効果を判定するためには、以下のような道具が使用されます。

作業に関する自己評価改訂版
運動と処理技能評価
社会交流評価
意志質問紙
作業遂行歴面接第二版
カナダ作業遂行測定

作業療法の歴史

作業療法の歴史は古く、古代ギリシャ時代には、ヒポクラテスが患者の回復のために作業を導入したとされています。その後、ガレノスが「仕事は天然の医師なり」と述べて作業を治療に活用し、18世紀にはピネルやラッシュが精神科治療に作業を取り入れました。日本では、1916年に呉秀三が作業療法を導入し、1965年には理学療法士及び作業療法士法が制定されました。

日本の作業療法の歴史

1963年：作業療法士養成校設立。
1965年1月：精神科作業療法協会（現：NPO法人POTA）設立。
1965年6月：理学療法士及び作業療法士法制定。
1966年：第一回国家試験実施、日本作業療法士協会設立。
1972年：日本作業療法士協会が世界作業療法士連盟に加盟。
1974年：身体障害作業療法と精神障害作業療法が診療報酬点数化。
1979年：文部省管轄による養成課程開始。
1992年：四年制大学における養成課程開始。
1996年：作業療法学のための修士課程設置。
1998年：作業療法学のための博士課程設置。

世界の作業療法の歴史

紀元前4世紀-3世紀（ギリシャ）：ヒポクラテスが患者の回復のために作業を行わせた。
1世紀（ギリシャ）：ガレノスが「仕事は天然の医師なり」と言い、作業を治療に活用した。
18世紀後半（フランス）：ピネルが道徳療法という名のもとで、精神科治療のために作業を用いた。
18世紀後半（アメリカ）：ラッシュがアメリカで作業療法をはじめて導入した。
19世紀前半（イギリス）：テュークが精神科治療のために作業療法（当時は仕事療法と道徳療法と呼称）の重要性を強調した。
1916年（日本）：呉秀三が日本に作業療法をはじめて導入した。
1917年（アメリカ）：バートンがアメリカで作業療法の協会を設立した。
1946年（日本）：水野祥太郎が身体障害者公共職業補導所で作業の評価と指導を開始した。
1952年（世界）：国際作業療法士連盟が設立された。

作業療法の日

毎年9月25日は作業療法の日とされています。

関連事項

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作業科学
作業療法士
日本の作業療法学者
デイケア
読書療法
芸術療法
園芸療法
運動療法
ダンスセラピー

外部リンク

日本作業療法士協会
WFOT（英語）
NPO法人POTA（精神科作業療法協会）

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