価格時点

価格時点についての解説

不動産鑑定評価において、価格時点（かかくじてん）とは、不動産の価格や賃料を評価する際の基準となる特定の日を指します。この基準日は、不動産鑑定評価基準によって定義され、価格の算定を行う際の重要な要素となります。

変動の原則

不動産の価値は、様々な要因の変化によって常に変動します。そのため、不動産鑑定評価基準では「変動の原則」という考え方が採用されています。この原則は、不動産の価格が絶えず変化の影響を受けていることを強調しており、正確な評価を行うためには、具体的な価格時点を設定することが求められています。特に賃料に関しては、算定期間の初日にあたる価格時点が重要となります。

不動産鑑定評価基準では、対象となる不動産や価格や賃料の種類と合わせて、その評価に必要不可欠な基準日を設定することが求められています。このため、評価を行う際には、必ず価格時点を確認し、定義する必要があります。

過去時点と将来時点の分類

不動産の評価においては、基準となる年月日をもとに、現在時点、過去時点、将来時点に区分されます。評価の原則としては、現在時点に基づくものが最も一般的です。過去時点については、対象物件が確認可能であり、必要な資料を集めることができる場合に限り、評価が認められます。

一方、将来時点の評価については、予測や想定に基づくものになるため、原則として行うべきではないとされています。将来の市場動向や不動産価値に関する不確実性が高いため、正確な評価が難しいとされているからです。

鑑定評価書への記載義務

不動産鑑定評価に関する法律第38条では、鑑定評価書において記載すべき事項が明確に定められています。具体的には、「鑑定評価額の決定の基準とした年月日」が必要です。これは、鑑定評価額があくまでその基準日での妥当性を持つためです。

取引事例や賃貸事例、建設事例などが価格時点と異なっている場合には、時点修正が必要となり、その内容も価格決定の理由として記載されるべきです。このように、評価の透明性と正確性を確保するために、価格時点は極めて重要な要素となります。

参考文献

本内容の詳細な理解を深めるためには、次の文献を参考にすると良いでしょう。

• - 監修：日本不動産鑑定協会 編著 調査研究委員会鑑定評価理論研究会『新・要説不動産鑑定評価基準』 住宅新報社 2010年、ISBN 9784789232296
• - 新藤延昭『不動産鑑定評価の知識』住宅新報社、2007年、ISBN 9784789227544

これらの資料を通じて、不動産鑑定評価に関する理論や実務について、より深い理解を得ることができるでしょう。

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