侵略犯罪

侵略犯罪（しんりゃくはんざい）について

侵略犯罪は、国際刑事裁判所（International Criminal Court, ICC）の規程に基づく管轄犯罪の一つであり、他国に対する武力行使に関する重罪です。この罪は、2010年6月にカンパラで開催されたローマ規程再検討会議で参加国の合意により定義されました。これにより、侵略犯罪に対する国際的な法的枠組みが整備されることとなりました。

定義

侵略犯罪の定義は規程第8条の2に明記されています。ここでは、国家の政治的または軍事的行動を実質的に指揮・管理する地位にある者が、国際連合憲章に対する明白な違反を伴う侵略の計画や準備、実行を行うことを示しています。具体的には、他国の主権や領土を侵害する武力行使を含む行為が「侵略行為」として位置づけられています。

以下は、侵略行為に該当する具体例です：

• - 他国への軍隊の侵入や攻撃、またはその結果の軍事占領。
• - 他国領域への砲撃や武器使用。
• - 他国の港や沿岸の封鎖。
• - 他国の軍事部隊に対する攻撃。
• - 合意に反して他国に駐留する軍隊の行動。
• - 武装した集団による他国に対する重大な武力行為。

これらの行為は、宣戦布告の有無にかかわらず侵略行為と見なされます。

管轄権の行使

侵略犯罪に関する国際刑事裁判所の管轄権の認定は、ICCまたは国際連合安全保障理事会によって行われます。ただし、ICCは他の機関による決定に影響を受けないとされています。

ICCがこの犯罪に関する管轄権を行使するためには、30の締約国が改正条項を批准または受諾した1年後から可能となります。さらに、決定は2017年1月1日以降に締約国の多数によって行われる必要があります。

管轄権の行使には、以下の2つの方法があります。
1. 国の自発的付託による行使：特定の国からの要請に基づく。
2. 安全保障理事会の付託による行使：安全保障理事会が侵略行為を決定した場合に該当。

発効と締約国

この規程の改正は、30の締約国の批准が必要です。実際、リヒテンシュタインは初の締約国として2012年5月に批准し、その後も多くの国々が続きました。2023年3月8日現在、44カ国が締約国として加入しています。

日本はこの改正に参加しない方針を明確にし、数か所の理由からこの動きに同意していませんが、ブロックする意思は持っていないとしています。

国際的な意義

侵略犯罪の設立は、国際社会が武力による行動に対する法的な制約を強化し、国際的な平和と安全を維持するための重要な一歩です。国際刑事裁判所が侵略犯罪を処罰することで、未来の紛争の回避と国際法の尊重が促進されることが期待されています。これは、国際社会が平和に生活するための基盤を築くことに貢献すると言えるでしょう。

今後、国際刑事裁判所による侵略犯罪の摘発や処罰の実績により、国際平和の価値が一層強化されることが期待されています。

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